工作機械の間をAMRが行き交う無人ライン、シチズンが見せた未来のモノづくり:工作機械(2/2 ページ)
シチズンマシナリーはプライベートイベント「CFA2023」を軽井沢本社で開催し、新しい精密加工工場や2024年発売予定の新機種などを公開した。
EV向けワークに対応する新機種を披露
フルモデルチェンジして2024年10月より順次発売予定の主軸台固定形CNC自動旋盤「Miyano ABX」シリーズから「ABX80THY」も披露した。
「Miyano ABX」シリーズは正面、背面の同時加工ができる2スピンドルと最多3タレットを搭載できるMiyanoブランドの旗艦シリーズとなっており、フルモデルチェンジにより最大加工径80mmの正面主軸を搭載した機種を新たにラインアップに加えた。主軸径拡大の一方で、部品配置の最適化により主軸径64mmの従来機と同じ機械サイズになっている。その他、最大加工径64mmであったモデルでも、加工径を正面、背面共に65mmに拡大した。
シチズンマシナリー 取締役 兼 執行役員の露崎梅夫氏は「EV(電気自動車)向けのワークの需要が高まっており、これまでマシニングセンタで加工を行っていたワークを旋盤で加工したいというニーズが出てきた。EV用のバッテリーを冷却するケースの要所要所には四角い部品も出てくる。それらを旋盤で加工できないかと考えている」と語る。
CNC自動旋盤「Cincom L20 X」によるLFVとエアロゾル加工も披露した。LFVはX、Zの各サーボ軸を切削方向に振動させ、その振動を主軸回転と同期させながら切削を行い、切削中に空振りする時間を設けて切りくずを細かく分断する技術だ。
エアロゾル加工は、通常、クーラント液を用いたウェット加工と違い、エアロゾル化した切削液をワークに噴射することでセミドライ加工を可能にする。消防法が適用される切削液の使用量が削減でき、加工点も見えるようになる他、切りくずに付着した切削液を回収する負担も減らすことができる。
シチズンマシナリーでは長期目標として売上高1000億円をかかげている。中期経営計画最終年度となる2024年度の売上高目標は860億円となっており、加工技術による差別化や自動化、省力化領域の拡大を重点戦略としている。Miyanoブランドの大型機の需要拡大を見込み、北上事業所の生産スペースの増床も決定した。これにより北上事業所の生産能力は2割増となり、国内3事業所の生産能力は170台となる。グローバルでは年間660台(2021年)だった生産能力は2025年には年間950台に拡大する。
「市場規模は年々広がっており、その中で、われわれは新技術を提供してより多くのユーザーのニーズに応えている。現在は油圧/空圧部品、半導体、医療分野のニーズが強い。半導体では半導体製造装置の中で検査に使われるコンタクトプローブは使い捨てで、1回で1000個、2000個という単位で使われる。2024年春以降に半導体需要が回復するという声も聞こえてきており、このコンタクトプローブを製造するわれわれの機械の受注も増えてくると考えている」(露崎氏)
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