乗用車メーカーのコロナ禍からの生産回復に陰り、認証不正が影響:自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)
回復が続いていた日系自動車メーカーの生産だが、ここにきて陰りを見せている。乗用車メーカー8社の2024年2月の世界生産台数は、スズキを除く7社が前年割れとなり、8社合計では13カ月ぶりに減少した。
回復が続いていた日系自動車メーカーの生産だが、ここにきて陰りを見せている。乗用車メーカー8社の2024年2月の世界生産台数は、スズキを除く7社が前年割れとなり、8社合計では13カ月ぶりに減少した。国内生産では、ダイハツ工業や豊田自動織機の認証不正に加えて、能登半島地震による部品供給の影響や、降雪による稼働停止も影響を及ぼした。さらに中国は春節休暇に前年とのずれがあり、大幅な減産となった。ただ、旺盛な自動車需要は依然として続いており、今後も回復基調は続くと予想される。
8社合計の世界生産は、前年同月比7.6%減の190万9747台だった。国内生産は、同16.1%減の58万8354台と、2カ月連続のマイナス。スズキ、日産自動車、三菱自動車を除く5社が減少した。2024年1月に続きダイハツの認証不正が大きく響いた他、豊田自動織機によるディーゼルエンジンの認証不正でトヨタ自動車が大幅減を余儀なくされた。ホンダとSUBARU(スバル)も2桁パーセント減と低迷した。
海外生産も前年同月比3.2%減の132万1393台と5カ月ぶりに前年実績を下回った。前年実績を上回ったのはトヨタ、スズキ、マツダ、スバルの4社。好調な北米は14カ月連続で増加した一方で、中国が春節の期ずれの影響で大幅減産となり、4カ月ぶりのマイナスだった。
国内 | 海外 | (うち北米) | (うち中国) | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
トヨタ | 246,447 | 490,731 | 177,047 | 70,545 | 737,178 |
▲ 12.9 | 3.5 | 18.7 | ▲ 41.5 | ▲ 2.6 | |
ホンダ | 51,010 | 243,700 | 142,408 | 46,209 | 294,710 |
▲ 15.8 | ▲ 13.0 | 9.6 | ▲ 49.2 | ▲ 13.5 | |
スズキ | 89,208 | 198,242 | - | - | 287,450 |
22.9 | 5.6 | - | - | 10.4 | |
日産 | 60,156 | 210,471 | 115,626 | 38,629 | 270,627 |
4.1 | ▲ 13.4 | 18.6 | ▲ 49.2 | ▲ 10.0 | |
マツダ | 65,635 | 34,577 | 25,748 | 4,191 | 100,212 |
▲ 9.4 | 9.0 | 23.4 | ▲ 13.9 | ▲ 3.8 | |
三菱自 | 45,465 | 41,768 | - | 0 | 87,233 |
4.9 | ▲ 11.0 | - | - | ▲ 3.4 | |
ダイハツ | 6,692 | 65,646 | - | - | 72,338 |
▲ 91.7 | ▲ 9.6 | - | - | ▲ 52.7 | |
スバル | 23,741 | 36,258 | 36,258 | - | 59,999 |
▲ 27.4 | 26.4 | 26.4 | - | ▲ 2.3 | |
合計 | 588,354 | 1,321,393 | 497,087 | 159,574 | 1,909,747 |
▲ 16.1 | ▲ 3.2 | 16.6 | ▲ 45.6 | ▲ 7.6 | |
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、% ※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計 |
トヨタ自動車
メーカー別に見ると、トヨタ自動車の2月のグローバル生産台数は、前年同月比2.6%減の73万7178台と14カ月ぶりにマイナスへ転じた。このうち国内生産は、同12.9%減の24万6447台と14カ月ぶりの前年割れ。2024年1月29日に豊田自動織機で自動車用ディーゼルエンジンの認証試験不正が発覚、不正に該当する「GDエンジン」を搭載する「ハイエース」「ランドクルーザー」「ハイラックス」などの出荷・生産を同年3月4日まで停止した。同じラインで生産する「アルファード」などの生産も停止した。
また、関東甲信地域が2024年2月5日から6日にかけて大雪に見舞われ、トヨタでは高速道路などの通行止めで物流停滞の影響により、田原工場や高岡工場、堤工場、トヨタ車体、トヨタ自動車東日本など7工場11ラインで同月6日の稼働を停止した。
これらの稼働停止に加えてダイハツの認証不正により、国内販売も大きく落ち込んだ。2024年2月の国内販売は前年同月比33.3%減、同年3月も同36.0%減と3カ月連続の前年割れとなった。中でも国内販売の主力モデルでダイハツが生産する小型車の「ルーミー」や「ライズ」の販売減が響いた。
国内が低迷した一方で、海外生産は前年同月比3.5%増の49万731台と5カ月連続で前年実績を上回り、2月として過去最高を記録した。地域別で見ると、好調をけん引したのが主要市場の北米で、同18.7%増と11カ月連続のプラス。旺盛な需要に加えて半導体の供給改善効果が続いている。
一方で中国は、依然として続く厳しい販売競争に加えて、春節に伴う稼働日数の影響により前年同月比41.5%減と大きく落ち込み、4カ月ぶりに減少した。中国以外のアジアは、主力拠点のタイが経済低迷や輸出先の経済動向などにより同27.5%減と低迷。インドネシアも同1.4%減だった。インドは同41.3%増、フィリピンも同11.8%増と好調だったが、中国の大幅減もありアジアトータルでは同22.6%減と4カ月ぶりに減少した。欧州はトルコでの新型車生産が始まったことや、前年同月が半導体不足で減産していたこともあり、同126.5%増と倍増し、3カ月ぶりにプラスとなった。
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