ごみに混ざったリチウムイオン電池を検知回収せよ、NEDOがシステム開発コンテスト:材料技術(2/2 ページ)
新エネルギー・産業技術総合開発機構と三菱総合研究所は、廃棄するリチウムイオン蓄電池(LiB)の検知/回収システムに関する研究開発に対して、懸賞金を提供するコンテスト「NEDO Challenge」を実施すると発表した。
応募する意義とは?
NEDOでは今回のコンテストに応募する利点として、1〜3位に入賞すると懸賞金が交付される点やメンタリングによる事業化に向けた支援が得られる点、LiBリサイクル現場見学会に参加できる点、技術と特許の動向に関する情報が提供される点を挙げている。
さらに、最終選考会は公開されるため、各種メディアに取り上げられ応募した研究の知名度向上に貢献する他、説明会やワークショップなども開かれ応募者同士や業界関係者との事業連携の機会も得られる。
今回のテーマを設定した背景
充電式の小型家電などに含まれる二次電池は、資源有効利用促進法に基づき製造業者が自主回収していることに加え、小型家電リサイクル法に準拠して認定事業者が回収しているなど、リサイクルシステムが整備されてきている。
そうした中、LiBが使用された小型製品が増加し、海外で製造された多くの製品も流通している。中にはLiBが使用されていることが分かりにくい製品や、LiBが取り外せない製品も多い。そのため、市町村では不燃ごみなどの回収区分にLiBやこれを含有した製品が混入することで、収集運搬中の車両内やごみ処理施設、リサイクル工場などで発煙/発火が起き、大規模火災につながる事例も報告されており、円滑な処理の阻害要因となっている。
そこで、NEDOは小型大容量のLiBを内蔵する製品に対し、前述のリサイクル工程における安全性を高めつつも作業を円滑化できるように、今回のコンテストでは小型LiBの混入防止や回収、除去にかかわる技術と仕組みをテーマに設定した。
LiBの排出量や回収、起因する火災について
環境省が2020年に発表した調査レポート「令和3年度小型家電リサイクル法施行支援及びリチウムイオン電池等処理困難物適正処理対策検討業務報告書」によれば、LiB搭載済み製品の出荷台数の推計からLiBの使用済み製品の発生重量は1万7008トン(t)と予想している。
加えて、経済産業省が公表した「2020年経済産業省生産動態統計年報 機械統計編」によれば、同年における車載用以外のLiB生産容量からの推計では1万6300tとなっている。なお、同年におけるJBRCによるLiB回収量の実績は730tで、上記推計の5%に止まっている。
一方、LiB使用製品の普及に伴い、ごみ処理過程におけるLiBなどの充電式電池が原因と疑われる火災発生件数が増加している。なお、製品評価技術基盤機構の調査結果によれば、ごみに混入したLiBの発火などによる推定被害額は、2018〜2021年度の4年間で111億円に達していることが指摘されている。
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