ロームが資本提携も視野に東芝の半導体事業との協業へ、売上高合計は1兆円規模:製造マネジメントニュース
ロームは、日本産業パートナーズ(JIP)に対して、ロームと東芝の半導体事業との業務提携強化に向けた協議を開始する旨の提案を行ったと発表した。
ロームは2024年3月29日、日本産業パートナーズ(JIP)に対して、ロームと東芝の半導体事業との業務提携強化に向けた協議を開始する旨の提案を行ったと発表した。現時点で決定した事項はないものの、ロームとしては両社のパワー半導体を中心とした半導体事業について資本提携も視野に入れた協議を行いたいとしている。
ロームによれば、半導体産業における国際的な競争環境が激化する中、ロームと東芝の半導体事業が持続的に成長し、企業価値を向上するためには幅広い連携が不可欠とする。東芝の半導体事業はロームとの親和性も高く「製品ポートフォリオや事業戦略などの面で、さまざまなシナジーを創出できる」(ローム)という認識だ。このような考えの下で、両社のさらなる企業価値向上に向け、幅広い協業/提携を協議すべく今回の提案を実施した。
ただし、今回の提案は具体的な協議を開始するためのものであり、その内容についてJIPや東芝との間で協議や合意した事項はないとする。また、提案後の見通しについても、現時点で確定はしていないという。
2023年12月には両社のパワー半導体量産投資計画への政府助成が決定
東芝は2023年3月、日本産業パートナーズ(JIP)をはじめとする国内企業を中心とした企業群の買収提案の受け入れを発表した。この買収提案は、同企業群が設立したTBJHによるTOB(株式公開買い付け)によって実施され、2023年12月22日付で東芝はTBJHの完全子会社となっている。
この東芝の非公開化に向けた活動に出資した企業の1社がロームだ。2023年7月にLP(有限責任組合)出資で1000億円、TBJHの親会社であるTBJホールディングスの無議決権優先株式を引き受ける形で2000億円の合計3000億円を出資したことを発表している。このときも「東芝の非公開化に参画し、同社の抱える課題の解消に協力すること」を主目的とする一方で、「東芝の半導体事業については当社との親和性も高く、将来的に機会をいただければ協業/連携にも関心を持っており、さまざまなシナジーを創出できる可能性はある」としていた。
また、2023年12月には、ロームと東芝デバイス&ストレージが共同で申請していたパワー半導体に関する製造連携および量産投資計画が、経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定されている。両社の計画の投資規模は、ロームと同社傘下のラピスセミコンダクタが2892億円、東芝デバイス&ストレージ子会社の加賀エレクトロニクスが991億円の合計3883億円であり、これに対して政府から最大で3分の1に当たる1294億円の助成が得られる。
この認定に関する発表文でも両社は「ロームが東芝の非公開化に出資したことによって、今回の両社による製造連携に至ったものではなく、かねてパワー半導体事業における連携を検討しておりこのたびの共同申請となった」と説明している。
なお、2023年3月期(2022年度)の連結業績に基づく両社の半導体事業の業績は、ロームが売上高5078億円、営業利益923億円、東芝が売上高4454億円、営業利益710億円(デバイス&ストレージソリューション内の半導体事業)。単純合算すると、売上高が9532億円、営業利益が1633億円で、売上高は1兆円規模に達する。
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