東芝は8年間のトンネルを抜け“強い会社”へ、非公開化に向けたTOBが開始:製造マネジメントニュース
東芝は、投資会社の日本産業パートナーズ(JIP)をはじめとする国内企業を中心とした企業群による株式非公開化に向けたTOBが2023年8月8日に開始されることを受けて、株主に対してTOBへの応募を推奨することを表明した。
東芝は2023年8月7日、投資会社の日本産業パートナーズ(JIP)をはじめとする国内企業を中心とした企業群による株式非公開化に向けたTOB(株式公開買い付け)が同月8日に開始されることを受けて、株主に対してTOBへの応募を推奨することを表明した。同年3月23日に同TOBに賛同した後、6月8日にTOBへの応募の推奨を発表していたが、あらためての応募推奨の意見表明となる。
TOBの内容は2023年3月23日の発表とほぼ同じで、買い付け予定数は4億3263万45株、公開買い付け価格は1株当たり4620円、総額約2兆円に上る。公開買い付けはJIPのひ孫会社に当たるTBJHが行う。TOBの期限は2023年9月20日で、成立条件は買い付け予定数の66.7%以上(2億8873万1000株)となっている。TOBが成立すれば、1949年の上場から70年以上の歴史を経て東芝は上場廃止となる。
2023年8月7日にオンラインで開催した決算発表会見に、東芝 取締役会議長の渡辺章博氏と同社 代表執行役社長 CEOの島田太郎氏が登壇し、TOB開始に当たってのコメントを発表した。
渡辺氏は、取締役会を代表して、「今日という日は、東芝にとって8年間のトンネルを抜けるまさに節目の日となるだろう。東芝は、優れた経営理念を持ち、顧客や社会のために気概を持って働く優秀な社員に支えられ、多くの人に愛されてきた非常に“よい会社”である。しかし“強い会社”ではない。今回のTOBによる非公開化は、単に“よい会社”からより“強い会社”にするためのものだ」と語る。
島田氏は、事業執行の立場から、「東芝グループは、事業構造を転換し、デジタル化を通じたカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーを実現することを目指しているが、現在の株主構成では中長期的に一貫した戦略を実行し、成長していくことは困難な状況にある。JIPの提案による今回の非公開化は、株主に対する短期的還元を最大化しつつ長期的改革が進められること、長期サポートを望む顧客に安心してもらえる体制であること、会社の方向性に対する従業員の不安が軽減されること、社会に対して安定したインフラのサポートとデジタル化/カーボンニュートラルに向けた革新的な技術開発への投資を行えること、という4つの評価基準を満たすとともに安定的な資本構成も実現できるので最善であると判断した」と説明する。
また、渡辺氏、島田氏とも、2023年3月の非公開化への賛同や同年6月のTOBへの応募推奨以降、株主や顧客、社員をはじめとするステークホルダーから前向きな反応が得られていることを強調した。「2023年3月の発表を受けて、多くの社員が『これで事業に集中できる』と目を輝かせた。6月の応募推奨でも『これで分かりやすくなった』と株主、顧客、取引先から前向きに受け止めるコメントをいただいた」(渡辺氏)、「非公開化によって得られる安定した経営基盤に対して期待が寄せられている」(島田氏)。
島田氏は「2025年に創業150周年を迎える東芝にとっての企業価値の源泉は、世の中にないものを作り出す技術のダイバーシティーにこそある。今後来たる100年を、新しい技術で、人々の生活と社会を支え続けていくためには、新たな一歩を踏み出す必要がある。そのためのTOBだ」と述べている。
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