東芝は迷走に終止符を打つか、JIP含む国内連合の買収提案を受け入れ非公開化へ:製造マネジメントニュース
東芝は、JIPをはじめとする国内企業を中心とした企業群の買収提案を受け入れることを発表した。TOBにより非公開化を進める。東芝では経営再建の過程で多くの“モノ言う株主”が参画し、経営陣の示す方針が二転三転する迷走状態に陥っていた。非公開化を進めることで経営の安定化を図る。
東芝は2023年3月23日、日本産業パートナーズ(JIP)をはじめとする国内企業を中心とした企業群の買収提案を受け入れることを発表した。株式公開買い付け(TOB)により非公開化を進める。東芝では経営再建の過程で多くの“モノ言う株主”が参画し、経営陣の示す方針が二転三転する迷走状態に陥っていた。非公開化を進めることで経営の安定化を図る。
買収の枠組みは、非常に複雑だ。公開買い付けは、JIPのひ孫会社に当たるTBJHが行う。TBJHの親会社がTBJホールディングスで、その親会社がTBGPとなる。このTBGPがJIPの完全子会社という位置付けだ。TBJHは株式会社だが、公開買い付け開始までに、合同会社に組織変更を行う。また、買付け開始までに、TBGPを含むJIPおよびそのグループが管理/運営する投資ファンドであるTB投資事業有限責任組合がTBJホールディングスの発行済株式の全てを所有する形とする。直接的に公開買い付けを行うのはTBJHだが、実質的に主導するのはこのTB投資事業有限責任組合となる。ただ、全てをTB投資事業有限責任組合で行うわけではなく、一部の海外投資家の受け皿であるケイマン諸島のBrick Lane Exempted Limited Partnershipと共同で行う形となる。
なお、JIPでは、2023年7月下旬をめどに公開買付けを開始することを目指しており、買付予定数(4億3263万45株)に公開買付価格(4620円)を乗じた金額(1兆9987億5080万7900円)を上回る金額を買い付け金額として予定しているという。ただ、各国の法規上手続きを済ませた上で進めることになる。
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