東芝が2分割案を撤回し非注力事業の売却も中止、特別委員会で非公開化を検討へ:製造マネジメントニュース
東芝が「潜在的な投資家やスポンサーとのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討」を行うための特別委員会を設置することを決議したと発表。これに合わせて、東芝本体にインフラサービス事業を残して、デバイス事業のみを分離独立させる2分割案を進めるための戦略的再編をいったん中断することも決めた。
東芝は2022年4月7日、同日開催した取締役会において「潜在的な投資家やスポンサーとのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討」を行うための特別委員会を設置することを決議したと発表した。これに合わせて、同年2月に発表した東芝本体にインフラサービス事業を残して、デバイス事業のみを分離独立させる2分割案を進めるための戦略的再編をいったん中断することも決めた。2分割案を策定した戦略委員会も4月7日付で解散している。【訂正あり】
また、2分割案において非注力事業とされたビルソリューション3事業のうち、昇降機と照明の2事業の売却プロセスも中断する。ただし、空調事業については、事業を担う東芝キャリアの東芝持ち分株式の米国キャリア(Carrier)への譲渡が決まっており、予定通り2022年9月末をめどにプロセスを進める。
特別委員会は、東芝から独立した社外取締役で構成されており、委員長はジェリー・ブラック氏、副委員長はポール・ブロフ氏が務め、委員としてレイモンド・ゼイジ氏、橋本勝則氏、綿引万里子氏、ワイズマン廣田綾子氏が加わる。
【訂正】特別委員会のメンバーについて、当初「副委員長はレイモンド・ゼイジ氏が務め、戦略委員会の委員長だったポール・ブロフ氏は参加しない」としていましたが、ポール・ブロフ氏が副委員長、レイモンド・ゼイジ氏が委員の誤りでした。本文は訂正済みです。
特別委員会の目的である「潜在的な投資家やスポンサーとのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討」とは、これまでもいわゆる“物言う株主”から提案されてきた、株式の非公開化と「潜在的な投資家やスポンサー」による東芝の買収である。「潜在的な投資家やスポンサー」との協議は経営陣主導で行われ、なるべく早い時期に開始する予定。
特別委員会は、事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べる経営陣とともに交渉に関与する。また、提案やストラクチャーの比較を徹底的に行い、株主を含むステークホルダーによって最良の非公開化提案を特定するという。
なお、特別委員会は、2022年6月に予定されている定時株主総会の前に、その時点の状況に基づく関連情報を提供する。経営陣も新事業計画を策定し、定時株主総会の前に発表する予定だ。
東芝は2022年3月24日に開催した臨時株主総会において、戦略委員会が策定した2分割案と、株主側から提案された非公開化やマイノリティー出資の積極的な検討という2つの議案について決議したが、どちらも否決されるという結果になっていた。その後も、米国大手投資会社のベインキャピタルが東芝の買収を検討しており、この買収が行われる場合には“物言う株主”の1社であるエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが保有株式をベインキャピタルに譲渡するという報道が出るなどしていた。
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