LIXILが自宅の蛇口から“ミネラルinウォータ”を飲めるサービスを発売:材料技術
LIXILは、東京都内で記者会見を開き、これまでの水栓事業で培ってきた浄水技術と、サントリー食品インターナショナルが開発した植物ミネラルエキスを組み合わせることで、住居の蛇口から冷たいミネラル入りの浄水を提供するサービス「Greentap」を発売すると発表した。
LIXILは2024年3月28日、東京都内で記者会見を開き、これまでの水栓事業で培ってきた浄水技術と、サントリー食品インターナショナルが開発した植物ミネラルエキスを組み合わせることで、住居の蛇口から冷たいミネラル入りの浄水を提供するサービス「Greentap(グリーンタップ)」を同月29日に発売すると発表した。
LIXIL 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの瀬戸欣哉氏は「当社では付加価値の高い水を提供できる水栓の実現を目指す『X-Water』プロジェクトを推進している。しかし、このプロジェクトの中で1つ足りないと思ったのが水のおいしさだ。そこで、サントリー食品インターナショナルと協力しミネラル入りの浄水を提供するサービスのGreentapをスタートする」とあいさつした。
10℃に冷やして吐水するタイプもラインアップ
Greentapは、LIXILのキッチン用ミネラル浄水栓を対象の水栓に設置することで、住居の蛇口から冷たいミネラル入りの浄水を提供するサービスだ。
キッチン用ミネラル浄水栓は、カラーがクールシルバーとクロムの2種類で、冷水タイプと常温タイプの2種類をラインアップしている。両タイプの違いは冷水ユニットの有無のみとなる。冷水タイプは、水栓本体、ミネラル浄水ユニット、冷水ユニット、機能ボックスから成る。
ミネラル浄水ユニットは水道水の浄水やミネラルエキスの付与で機能し、冷水ユニットは浄水した水を冷却する装置で、機能ボックスはスマートフォンやWi-Fiとキッチン用ミネラル浄水栓を接続できる。ミネラル浄水ユニットで利用する浄水カートリッジ、クリーンフィルター、ミネラルボトルは消耗品のため定期的に交換する必要がある。
冷水タイプのキッチン用ミネラル浄水栓の浄水および吐水の手順は、まず水道水の不純物をミネラル浄水ユニットの浄水カートリッジで取り除き浄水する。次にその水に、ミネラル浄水ユニットに取り付けられたミネラルボトルに封入された植物ミネラルエキスをクリーンフィルターを介して加える。続いて、その水を冷水ユニットで約10℃に冷却した後、蛇口から吐水する。冷却ユニットを搭載していないタイプの場合は冷却工程は省略される。
LIXIL LWTJ水栓事業部長の松尾謙吾氏は「キッチン用ミネラル浄水栓では、内蔵されたポンプや水量制御弁でミネラルの添加量と水量を正確にコントロールし常に一定のミネラル濃度を実現できる。冷水ユニットで最もおいしく感じられる温度である10℃にする。キッチン用ミネラル浄水栓のホースは二重管ホースになっており、植物ミネラルエキスを含有した浄水と水道水の通り道を分けている。これにより、飲料用で植物ミネラルエキスを含有した浄水を使え、食器洗いなどで浄水していない通常の水道水を利用することが可能だ」と話す。
なお、キッチン用ミネラル浄水栓の操作は、左のLEDハンドルを回すと植物ミネラルエキスを含有した浄水を、右のレバーハンドルを回すと水道水を温度を変えて吐水可能だ。LEDハンドルに搭載されたLEDライトは冷水で青く、常温水で緑に発光する。
ミネラルボトルに封入された植物ミネラルエキスとは?
ミネラルボトルに封入された植物ミネラルエキスは、サントリー食品インターナショナルが開発したもので、ヤシ殻活性炭の製造過程で廃棄される賦活原料炭から抽出した純水を分離し、ろ過して、濃縮することで生産している。同社ではこの製造工程を美味開発技術と呼称している。
キッチン用ミネラル浄水栓と交換セットの価格
キッチン用ミネラル浄水栓の価格は、冷水タイプが27万6100円で、常温タイプは22万1000円(いずれも税込みで、工事費込み)。浄水カートリッジ、クリーンフィルター、ミネラルボトルから成る交換セットについては、「スーパー長期割3プラン」「長期割3プラン」「通常プラン」の3つのプランから購入できる。
スーパー長期割3プランは交換セット1セット当たり1万9800円で、注文方法はスマート注文に対応し、3年契約で最低購入回数は年間1回、1つの注文ごとの支払いはクレジットカード決済となる。
スーパー長期割3プランのスマート注文では、キッチン用ミネラル浄水栓の機能ボックスをWi-Fi経由でインターネットに接続する。そして、キッチン用ミネラル浄水栓に内蔵されたセンサーがミネラルボトルの残量が少なくなったことを検知すると、そのセンサーデータを機能ボックスとインターネットを介して専用のクラウドとアプリケーションに送る。その後、センサー情報に基づき専用クラウドがLIXILのECサイト「LIXILストア」に交換セットを自動注文し、交換セットが自動で対象のユーザーに配送される。加えて、自動注文時に交換セットの支払いがクレジットカード決済で行われる。
長期割3プランは交換セット1セット当たり2万6400円で、注文方法は顧客による注文に対応し、3年契約が必要で最低購入回数は年間1回となり、1つの注文ごとの支払いはクレジットカード決済。通常プランは3万5200円で注文方法は顧客による注文に対応し契約期間と最低購入回数はなしで1つの注文ごとの支払いはクレジットカード決済、コンビニ決済、代金引換に応じている。
Greentapの販売ターゲットは30〜40代の共働き夫婦で、販売ルートはエディオンとヤマダデンキの店舗やLIXILストアとなっている。なお、Greentapの開発期間は4年で、売上高の目標としては5年間で累計150億円を掲げている。
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