パナソニックがインドネシアの水事情改善へ、水浄化機と軟水機をワンストップ提供:材料技術
パナソニック 空質空調社は、2024年4月に独自技術で井戸水の鉄分を除去する「セントラル水浄化機器」の新モデル(FP-15AM1)を、8月に水質を硬水から軟水に変える「軟水機(FP-RS10V1C)」をインドネシアで発売すると発表した。
パナソニック 空質空調社は2024年3月6日、インドネシアの会場とオンラインで会見を開き、同年4月に独自技術で井戸水の鉄分を除去する「セントラル水浄化機器」の新モデル(FP-15AM1)を、8月に水質を硬水から軟水に変える「軟水機(FP-RS10V1C)」をインドネシアで発売すると発表した。
併せて、両製品を、現在展開している井戸水をくみ上げるウォータポンプや電気シャワーと組み合わせるとともに、導入前に必要な水質検査の体制強化と配管清掃サービスの提供を行うことも公表している。なお、これらの製品やサービスをまとめて「ワンストップウォータソリューション」として、グループ会社のパナソニック・ゴーベル インドネシアが販売する。
パナソニック・ゴーベル インドネシア 社長の中川敬介氏は「インドネシアでは70%(約4600万世帯)の住民が水質の悪い井戸水を利用している。そこで、当社では、1988年にインドネシアでウォータポンプの生産と販売をスタートした後、2020年に井戸水の鉄分や細菌などを除去できるセントラル水浄化機器を発売した。そして2024年4月にセントラル水浄化機器の新モデルを発売する」とあいさつした。
新モデルは高速酸化技術で水の鉄分を除去
セントラル水浄化機器の新モデルは、搭載された独自の高速酸化技術で水の鉄分を酸化して除去できる。加えて、パナソニック 空質空調社の前処理フィルターと組み合わせることで、水に含まれる1リットル(l)当たり12mgの鉄分を同0.3mg以下とし、濁度を5NTU(NTU:Nephelometric Turbidity Unit、ホルマジン標準液を基準とする比濁計濁度単位)以下にできる。
備えている逆洗機能でろ材(ろ過に用いる多孔性の材料)を洗浄できるため、簡単なユーザーメンテナンスでろ材を最大5年間使え、ランニングコストを抑えられる。さらに、現行モデルと比較して設置面積を最大で50%減らせる。従来モデルの耐水圧設計を見直し、0.6MPaの水圧までは追加バルブを使用せず施工でき、多様なポンプに対応している。
カルシウムとマンガンを除去し軟水化
セントラル水浄化機器と組み合わせて使用する軟水機は、インドネシアの井戸水で多い硬水をイオン交換樹脂に通すことでカルシウムとマンガンを除去し軟水化する。搭載された自動再生機能により、塩タブレットを溶解することで、イオン交換樹脂の再生とすすぎが行える。
パナソニック 空質空調社 副社長の小笠原卓氏は「硬水は、髪のパサつきや肌の乾燥、シャワーヘッドの目詰まり、水垢の発生、洗濯物の硬い洗い上がりにつながる。軟水器で硬水を軟水にすることは生活の質向上を実現する」と述べた。
セントラル水浄水機器を取り付ける前に行う配管清掃サービスは、古い水道管にたまっている汚れを特殊な薬剤で洗浄する。これにより、セントラル水浄水機器で浄化した水をきれいなまま蛇口まで届けられる。
また、セントラル水浄化機器の設置前に必要な、鉄の濃度や濁度を測定する水質検査は、これまでインドネシア国内は1拠点のみで対応しており、採取した水の配送などで、結果が出るまでに最大で2週間かかっていた。2023年度末にはインドネシアの検査拠点を5拠点まで強化し、リードタイムを約5日間までに短縮する。さらに、検査で得られた水質データは全てクラウドシステムで管理/蓄積し、今後はデータを用いた商品開発にも役立てていく。
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