パナソニックとヤンマーの協業は順調に進捗、工場の脱炭素ニーズにも対応:脱炭素
パナソニック 空質空調社とヤンマーエネルギーシステムズは、「第2回 脱炭素経営EXPO [春]」において、両社で協業を進めている分散型エネルギー事業を紹介した。
パナソニック 空質空調社とヤンマーエネルギーシステムズは、「第2回 脱炭素経営EXPO [春]」(2023年3月15〜17日、東京ビッグサイト)において、パナソニックの業務用空調機「吸収式冷凍機」とヤンマーの「マイクロコージェネレーションシステム」を連携させた分散型エネルギーシステムを披露した。同年4月からの受注開始に向けて開発は順調に進んでいるという。
パナソニック 空質空調社とヤンマーエネルギーシステムズが共同出展した分散型エネルギーシステムの展示。左側手前にあるのがヤンマーの「マイクロコージェネレーションシステム」で、その隣に機器連携のための専用コントローラーが設置されている。これらの奥側にあるのがパナソニックの「吸収式冷凍機」だ[クリックで拡大]
両社は2022年12月に分散型エネルギー事業の開発と販売で協業することを発表している。大阪府内に本社を置くパナソニックとヤンマーが本格的に協業するのは今回が初の事例となる。
この分散型エネルギー事業では、省エネやBCP(事業継続計画)で需要が拡大するコージェネシステムで発生する排熱を、水という自然冷媒を使って冷房を行えるパナソニックの吸収式冷凍機により施設のエネルギー効率を大幅に向上することを目指している。同事業の想定顧客は、学校や病院、工場、公共施設など面積1万m2以下の中規模施設を持つ事業者であり、中規模事業者向けコージェネでトップクラスのシェアを持つヤンマーのマイクロコージェネレーションシステムは、パナソニックの吸収式冷凍機と組み合わせることで最適な提案が可能になるという。
両社の機器を連携する上で重要な役割を果たすのが共同開発中のコントローラーだ。2022年12月の発表会見ではコントローラー本体のみを公開したが、今回の展示では機器の連携制御に必要なさまざまな情報を表示するHMIも併せて披露し、共同開発が順調に進んでいることを示した。「工場向けでは脱炭素に向けた取り組みの一環としての引き合いが強い。食品工場や金属加工工場を中心に提案が進んでいる。一方、学校や病院については、BCPに関する要望が強いようだ。2023年4月の受注開始、7月の出荷開始に向けてしっかり開発を進めていきたい」(展示の説明員)としている。
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