世界規模の水処理膜市場は2030年に4786億円に到達と予測:製造マネジメントニュース
富士経済は、水処理関連市場を調査し、その結果を「2023年版水資源関連市場の現状と将来展望」として発表した。水処理需要の高まりから、国内、世界ともに2030年は2022年対比で需要増加が見込まれる。
富士経済は2023年9月20日、世界的な水資源確保のニーズの高まりから注視される水処理関連市場を調査し、その結果を「2023年版 水資源関連市場の現状と将来展望」として発表した。
新型コロナウイルス感染症の影響が緩和したことで市場は活性化しており、2023年の国内の水処理関連市場は2022年比7.8%増の3869億円になると見込む。今後は、水処理膜や水処理サービスなど、水資源への影響を最終的にゼロにする「ウォーター・ニュートラル」の推進に向け、水使用のライフサイクルの負荷軽減に関係する市場の成長が予想される。こうした動きから、2030年は同18.0%増の4235億円と予測する。
エレクトロニクス分野は、モバイル機器の需要増加や5G通信の普及などで世界的な半導体需要が増加しており、設備投資が活発化。純水、超純水などの水処理デバイス、装置、プラント市場は2020年以降拡大しており、2023年の国内市場は2022年比15.5%増の1734億円となる見通しだ。今後も用水、排水処理ともに伸長が続き、2030年は同60.7%増の2412億円と予測する。
世界市場では、水処理膜や水処理向けのイオン交換樹脂の成長が注目されている。2023年の水処理膜市場は3136億円になる見込みで、水セキュリティへの意識の高まりや排水リサイクルの推進などから、2030年は2022年比62.1%増の4786億円になると予測する。
また、脱塩化処理や軟化処理、排水中の重金属の除去、レアメタルの回収などに使われるイオン交換樹脂は引き続き拡大が予想され、2023年は1643億円になると見込む。今後は製薬や医薬、エレクトロニクス、エネルギー分野などの新たな需要がけん引し、2030年は2022年比44.2%増の2158億円になると推測した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 独自微生物群で廃水処理時の余剰汚泥を減少させるソリューション
三谷産業と片岡バイオは、独自の微生物群の働きによって廃水処理時に発生する余剰汚泥を減少させる、環境負荷低減ソリューションの提供活動を拡大する。新たな設備投資は不要で、余剰汚泥が減少することで処理費用を2〜3割削減できる。 - 半導体工場の環境負荷低減に向け、フッ素含有廃水処理薬剤を35%削減
NECファシリティーズは、ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリングの西条工場で、フッ素含有廃水処理の環境負荷低減施策を実施した。これにより、廃水処理における処理薬剤を従来比35%、処理汚泥量を同4%削減した。 - IoTやAIによる排水処理監視サービスを沈殿槽自動監視サービスに採用
東芝デジタルソリューションズの排水処理遠隔監視サービスが、栗田工業の沈殿槽自動監視サービス「S.sensing TS」に採用された。 - 工場排水の再利用を安価に実現、全量リサイクルに道
三菱電機は、東京都内で開催した研究開発成果披露会において、工場排水や下水を安価に再利用できる「気液界面放電による水処理技術」を説明。今後は、1日当たり1000トンの排水処理が可能な装置の開発を進め、2018年度の事業化を目指す。 - 東芝がプラント異常予兆検知AIで新技術、大小2つの変動から正常状態を高精度予測
東芝が大規模で複雑なプラントに設置した数千点のセンサーから得た時系列データを基に、プラントの状態変化の中に埋もれた異常の兆候を早期検知できる異常予兆検知AIを開発。水処理試験設備の公開データセットであるWADIに対してこのAIを用いた異常検知を実施したところ、従来比で12%良好な世界トップレベルの検知性能が得られたという。 - 2020年度グッドデザイン大賞は「世界初」の持ち運べる水再生処理プラント
日本デザイン振興会は、「2020年度グッドデザイン大賞」および「2020年度グッドデザイン特別賞各賞」を発表した。グッドデザイン大賞には、WOTAの自律分散型水循環システム「WOTA BOX」が選ばれた。