独自微生物群で廃水処理時の余剰汚泥を減少させるソリューション:脱炭素
三谷産業と片岡バイオは、独自の微生物群の働きによって廃水処理時に発生する余剰汚泥を減少させる、環境負荷低減ソリューションの提供活動を拡大する。新たな設備投資は不要で、余剰汚泥が減少することで処理費用を2〜3割削減できる。
三谷産業は2022年6月8日、片岡バイオと協業し、独自の微生物群の働きによって廃水処理時に発生する余剰汚泥を減少させる、環境負荷低減ソリューションの提供活動を拡大すると発表した。
日本で排出される産業廃棄物の44%が余剰汚泥を含む汚泥で、年間排出量は1.6億トンにも及ぶ。廃水は微生物が汚れを分解することで浄化されるが、水から分離される活性汚泥は廃水を浄化するほど発生し、余剰汚泥が増える。
また、余剰汚泥を脱水、乾燥、焼却する際には、温室効果ガスが発生する。埋設時には、悪臭や浸出水の発生など、環境問題を引き起こす。加えて、余剰汚泥処理にかかる費用が自治体などの財政を圧迫するという問題もあった。
環境負荷低減ソリューションは、既存の廃水処理設備や環境に合わせた微生物群を投入するだけで、余剰汚泥を減少させることができる。独自の酵素を分泌する微生物群に細胞壁を分解させ、微生物による余剰汚泥の減少を促すため、浄化機能を担う活性汚泥には悪影響を及ぼさず、廃水処理環境を毀損しない。
新たな設備投資は不要で、余剰汚泥が減少することで処理費用を2〜3割削減できる。三谷産業のグループ会社である相模化成工業で導入したところ、余剰汚泥の発生がゼロになり、処理に関する総コストを約3割削減できた。
両社は、余剰汚泥の処理に課題を持つ自治体や事業者向けに、同ソリューションの導入推進活動を拡大していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 頼るべき“ルール”見えぬ脱炭素、国内製造業は立ち止まらずに進めるのか
ここ最近、大手製造業各社が脱炭素に向けた挑戦的な目標設定を次々に打ち出している。一方で、「では実際に脱炭素を進めればいいのか」と悩む企業も少なくない。既存のGHG削減や省エネ化といった施策に加えて何をすべきなのか、そもそも業界共通の制度やルールづくりが進まない中、何をすればよいのか。脱炭素実現に向けた国内製造業の“現在地”について話を聞いた。 - 製造業の脱炭素って本当に可能ですか? 欧州よりも積極性が求められる日本
国内製造業は本当に脱炭素を実現できるのか――。この問いに対して、本連載では国内製造業がとるべき行動を、海外先進事例をもとに検討していきます。第1回は脱炭素を巡る欧州と日本の「共通点」と「相違点」を解説します。 - 製造業の約70%がカーボンニュートラル対応の「全社方針あり」
日本能率協会は、製造業におけるカーボンニュートラル対応の現状や課題に関するアンケート調査結果を発表した。見える化による現場の省エネ活動は進んでいるが、今後はサプライチェーンを含めた取り組みが鍵になる。 - 2050年のカーボンニュートラル目標実現に向け、再生可能エネルギー導入を推進
安川電機は、地球温暖化の抑制に向けて、グループの環境ビジョンに2050年カーボンニュートラル目標を新たに設定した。グローバル事業活動に伴う二酸化炭素の排出量実質ゼロを目指す。 - 脱炭素対応急ぐ三菱重工、100%子会社の三菱パワーを2021年10月に統合へ
三菱重工業は、2020年度(2021年3月期)連結決算と2021〜2023年度の中期経営計画「2021事業計画(21事計)」の進捗状況について説明。2020年度連結業績は、2020年11月に発表した通期見通しをおおむね達成した。21事計では、エナジー事業を脱炭素に対応させる「エナジートランジション」に向け、100%子会社の三菱パワーの統合を決めた。 - 複雑なサプライチェーンのCO2排出量算定を効率化する日立の新サービス
日立製作所は2021年4月5日、クラウド型の企業向け環境情報管理システム「EcoAssist-Enterprise」の新サービス「CO2算定支援サービス」を、日立コンサルティングと連携して提供開始すると発表した。複雑化しがちなサプライチェーン(スコープ3)周りのCO2排出量の算定方法などを、EcoAssist-Enterpriseやコンサルティングサービスを通じて見える化、仕組み化する。