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複雑なサプライチェーンのCO2排出量算定を効率化する日立の新サービス製造ITニュース

日立製作所は2021年4月5日、クラウド型の企業向け環境情報管理システム「EcoAssist-Enterprise」の新サービス「CO2算定支援サービス」を、日立コンサルティングと連携して提供開始すると発表した。複雑化しがちなサプライチェーン(スコープ3)周りのCO2排出量の算定方法などを、EcoAssist-Enterpriseやコンサルティングサービスを通じて見える化、仕組み化する。

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 日立製作所は2021年4月5日、クラウド型の企業向け環境情報管理システム「EcoAssist-Enterprise」の新サービス「CO2算定支援サービス」を、日立コンサルティングと連携して提供開始すると発表した。複雑化しがちなサプライチェーン(スコープ3)周りのCO2排出量の算定方法などを、EcoAssist-Enterpriseやコンサルティングサービスを通じて見える化、仕組み化する。排出量推定のためのデータ収集作業などを効率化できる可能性がある。

複雑なスコープ3の排出量算定を支援

 CO2算定支援サービスはEcoAssist-Enterpriseと、日立コンサルティングが提供する「GHG(温室効果ガス)算定支援サービス」を連携させる形で提供するサービスだ。顧客企業は、いわゆる環境、社会、ガバナンス(ESG)投資などで参照される「CDP質問書への回答(以下、CDP回答書)」「SBT取得」「非財務情報開示(TCFD)」「RE100取得」といった各要件取得に向けたコンサルティングサービスを受けられる他、必要なデータ収集や管理を効率的に行う仕組みを構築できる。収集データの一元化と見える化を実現するシステムで、レポート作成作業を効率化する。


CDP回答支援サービスの内容*出典:日立製作所、日立コンサルティング[クリックして拡大]

 EcoAssist-Enterprise自体は2002年に提供開始したサービスで、これまでに100社以上の導入実績がある。EcoAssist-Enterpriseの導入メリットについて、日立コンサルティング グローバル・ビジネスコンサルティング事業部 社会DXコンサルティング本部 マネージャーの山口岳志氏は「未導入の企業では、環境部門がExcelを使ってデータ集計を手作業で行っていることもある。集計の手間を省力化することで、例えばCDPからより高位の評価ランクを得るための方策を検討するなど、創造的な業務に集中できるようになる」と説明する。


「EcoAssist」シリーズの概要説明*出典:日立製作所、日立コンサルティング[クリックして拡大]

 ただ、これまでは「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」など国内法規制への対策を念頭に、GHGプロトコルのスコープ1〜2に当たる、事業者自身の直接排出や、購入した電力や熱の使用による間接排出を算定する目的での導入事例が多かった。

 一方、最近ではバリューチェーン全体を通して企業のCO2排出量削減に向けた取り組みを評価する動きが世界中で広がっており、スコープ3のサプライチェーンにおける排出量算定が重視されるようになっている。自社だけでなく取引先なども含めた排出量を出さなければならず、算定のための処理やロジックが複雑化しやすい。

 そこで、今回のCO2算定支援サービスでは、EcoAssist-Enterpriseの導入と併せて、スコープ3を含めたCO2排出量算定方法の確立を支援するためのコンサルティングサービスを提供する。具体的には、CDP回答書作成やSBT、RE100の取得、TCFDに必要となるデータ源を推測した上で、EcoAssist-Enterprise上で必要なデータ項目の定義、帳票設計を支援する。

 また、EcoAssist-Enterpriseの導入前に、炭素税などの環境政策、経済、社会、技術動向に加えて、競合企業を含む業界動向を参考にしつつ、CDP回答書作成、SBTやRE100の取得、TCFDの実現時期を目標として定めるコンサルティングサービスも提供する。併せて地球温暖化ガスの中長期削減目標などの設定も行う。


中長期削減目標の設定も支援*出典:日立製作所、日立コンサルティング[クリックして拡大]

 導入後には、レポート作成や対外発信支援のコンサルティングサービスなども提供する。なお、これらのサービスはEcoAssist-Enterpriseの未導入企業でも利用可能。山口氏は「EcoAssist-Enterprise導入後、1〜2年程度はコンサルティングが必要になるかもしれないが、その後は不要化できるよう、顧客企業の仕組み化を支援したい」と語る。

 今後の展望について、日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部 サービス・制御プラットフォームシステム本部 デジタルソリューション事業開発部 担当部長の井川尚紀氏は「今回のサービスはあくまでCO2排出量の算定を支援するもので、CO2を削減する実効的な手段を顧客に提供するものではない。将来的には当社のアセットを生かして、太陽光発電サービスの提供につなげるなど、排出量の算定と具体的な削減手段をワンストップで提供できるようにしたい」と語った。

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