日立は新型コロナで売上高1兆円減も利益確保、東原社長「10年間の改革の成果」:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
日立製作所が2019年度(2020年3月期)連結決算と2020年度の業績予想、2021年度までの中期経営計画の進捗状況について発表。2019年度業績は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に加えて、上場子会社の減収、事業売却などにより減収減益となり、2020年度業績もCOVID-19の影響が大きくなることから大幅な減収減益を予想している。
日立製作所は2020年5月29日、オンラインで会見を開き、2019年度(2020年3月期)連結決算と2020年度の業績予想、2021年度までの中期経営計画の進捗状況について発表した。2019年度業績は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に加えて、上場子会社の減収、事業売却などにより減収減益となり、2020年度業績もCOVID-19の影響が大きくなることから大幅な減収減益を予想。ただし、同社執行役社長 兼 CEOの東原敏昭氏は、中期経営計画の進捗説明で「COVID-19により、リモート、非接触、自動化という新たなニーズを求める社会変化生まれている。日立は、社会イノベーション事業によってそれらの課題を解決することで成長を継続できる」と強調した。
2019年度の連結業績は、売上高が前年度比8%減の8兆7672億円、調整後営業利益が同12%減の6618億円、当期利益が同61%減の875億円となった。ただし、中期経営計画の重要指標のうち調整後営業利益率はCOVID-19の影響下でも同0.5ポイント減の7.5%を確保。Lumada事業の売上高は同8%増の1兆2210億円となり、ROIC(投下資本利益率)も同0.9ポイント増の9.4%を達成した。日立製作所 執行役専務 CFOの河村芳彦氏は「IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの5セクター合計で増益だった一方で、上場子会社は減益となり、大きな差が出た。5セクター合計は過去最高益で、中でもITセクターは売上高約2兆1000億円に対して、調整後営業利益約2500億円を稼ぎ出すなど好調だった」と説明する。
2020年度業績予想は、売上高が前年度比19%減の7兆800億円、調整後営業利益が同43%減の3720億円、当期利益が同3.8倍の3350億円とする。2019年度連結業績でもCOVID-19の影響は、売上高で1461億円、調整後営業利益で469億円押し下げるインパクトがあるが、2020年度業績予想では、売上高で1兆200億円、調整後営業利益で3010億円ものマイナス影響を見込んでいる。「これらの影響は上期で7〜8割、下期で2〜3割というイメージで、2020年度後半に向けて回復していくという見通しだ」(河村氏)という。
なお、同社の業績に対するCOVID-19の影響は、5セクター+上場子会社2社(日立建機、日立金属)と6つの地域のマトリックスに分けて算出している。変動率が15%以上と大きな影響を見込んでいるのは、インダストリーセクターの日本、北米、ASEAN・インド他、モビリティセクターの北米と欧州、ASEAN・インド他、ライフセクターの北米と欧州、日立建機の中国を除く全地域だ。「完成車メーカーの2020年度の生産台数は前年度比20%減となる見込みで、自動車産業と関わりの深いインダストリーセクターの産業・流通BU、ライフセクター傘下の日立オートモティブシステムズにとって厳しい状況」(河村氏)としている。
東原氏は2020年度の業績予想について「リーマンショック後の2008年度決算では大きな赤字を出した。そのリーマンショックよりも厳しいといわれる今回のコロナショックでも利益を確保できる見込みが立っているのは、これまで10年間の改革の成果といえるだろう」と語る。
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