製造業の約70%がカーボンニュートラル対応の「全社方針あり」:脱炭素
日本能率協会は、製造業におけるカーボンニュートラル対応の現状や課題に関するアンケート調査結果を発表した。見える化による現場の省エネ活動は進んでいるが、今後はサプライチェーンを含めた取り組みが鍵になる。
日本能率協会は2021年11月5日、製造業におけるカーボンニュートラル対応の現状や課題に関するアンケート調査を実施し、その結果を発表した。見える化による現場の省エネ活動は進んでいるが、今後はサプライチェーンを含めた取り組みが鍵になるという。
同調査では、調査対象の約70%がカーボンニュートラルへの取り組みに関して全社方針が存在すると回答した。そのメリットとして、約8割が「顧客からの評価につながる」を挙げている。
取り組み上の問題は「経済性と環境性の両立が図れない」(59.8%)が最多となり、「自社の技術革新が十分でない」(43.8%)、「サプライチェーンを巻き込んだ取り組みができていない」(42.0%)が続いた。
「状況の見える化」については、「工場や事業所単位のエネルギー使用量の測定」を「実施している」のは49.1%で、「計画中」「検討中」を含めると75%以上になった。しかし、「取得データを基にした現場での省エネ活動の展開」は13.0%にとどまるなど、データ活用については進んでいないことが分かった。
「生産技術革新」は見える化ほど実施が進んでおらず、「製品の軽量化、小型化」の実施が19.5%(「実施検討」まで含めると56.8%)で、次いで「設計段階からの工法見直し、改善」「設備、施設の電化」となった。実施後の効果については、多くの項目で「効果が出ている」「出る見通し」が「効果が出ていない」を上回ったが、依然実施していない項目が多く、今後の動向を注目する必要がある。
「体制、人材育成面」では、「経営層主導による推進体制がある」「部門をまたいだ推進体制がある」「取り組みに関する責任と役割を明確にしている」の3項目で実施中が各20%を超え、実施検討まで含めると60%超の結果になった。一方で、スキルアップなどの人材育成面は、いずれの項目でも低調な結果となった。
日本能率協会は今回の調査から、多くの企業で現場レベルの省エネ活動が進められ、一定の効果を上げていると分かったとした上で、今後は、データ活用を含めた見える化活動が必要になるとしている。
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