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プラスチックやガラスに塗工可能な導電性ポリマーを販売開始:材料技術
松尾産業は、溶剤への分散を可能とする導電性ポリマー「溶剤分散型PEDOT/PSS」の販売を開始した。水分散体では使用困難な電子材料や各種プラスチック、ガラスに塗工できる。
松尾産業は2024年3月13日、溶剤への分散を可能とする導電性ポリマー「溶剤分散型PEDOT/PSS」の販売開始を発表した。水分散体では使用困難な電子材料や各種プラスチック、ガラスに塗工できる。
原液として供給可能で、フィルムコーター機を使用して容易に塗工できる。各種有機溶剤系での設計に加え、添加量により表面抵抗率を調整できるため、さまざまな樹脂へのコーティングに対応する。
分散溶媒は、MEK(メチルエチルケトン)やIPA(イソプロパノール)など、用途に合わせて溶媒を選べる。また、シリコーンやアクリルなどの樹脂と混ぜ合わせることで、機能層と帯電防止層を1層化した。
基材についても、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)などさまざまなプラスチックに適用し、ハードコート性を付与できる。PETフィルムやガラスへの高いぬれ性を備え、水系では使用困難な電子材料にも使用できる。
PEDOT/PSSは、スマートフォンのディスプレイや帯電防止剤、電解コンデンサーに加え、近年は有機ELなどフレキシブルデバイスへの展開も期待されている。しかし、従来は水分散液で提供されており、フレキシブルデバイス用の疎水性基材には塗工が困難だった。
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