セラミックス内部に発生する亀裂や気孔を可視化して検出する技術を開発:材料技術
産業技術総合研究所は、ファインセラミックス内部に発生する亀裂や気孔などを可視化して検出する技術を開発した。明るい色のセラミックスにも適用可能な同技術は、短時間で欠陥を検出し、非破壊で内部を観察できる。
産業技術総合研究所(産総研)は2024年3月8日、ファインセラミックス内部に発生する亀裂や気孔などを、可視化して検出する技術を開発したと発表した。
産総研は、2022年度からファインセラミックスにおけるプロセスインフォマティクス技術の確立を目指し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で「次世代ファインセラミックス製造プロセスの基盤構築、応用開発」に取り組んでいる。
ファインセラミックス材の製造時に発生する亀裂や気孔は、10〜100μmのサイズになると製品の特性を致命的に低下させるキラー欠陥となる。そのため、製造プロセスにおいてキラー欠陥を効率的に検出する必要があるが、これまでの製造プロセスは、人の勘や経験に基づくことが多かったため、開発に時間やコストを要するという課題があった。
産総研とNEDOは、セラミックス内部の欠陥に対し、レーザーを用いた蛍光顕微鏡で表面から深さ方向を観察する技術を開発した。
人為的に圧入痕を付けて亀裂を入れたセラミックスにおいて、表面部分だけでなく、鉛直方向に伸びた亀裂を深さ180μmまで3次元像で観察することに成功した。
また、粗大な気孔を有する窒化ケイ素や緻密なアルミナ焼結体に同技術を適用したところ、表面に露出していない試料内部の気孔を確認できた。
開発した技術は、アルミナや窒化ケイ素、窒化アルミニウムなど、白や灰色系の明るい色のセラミックスにも有効だ。既存技術と比べて短時間で欠陥を検出でき、非破壊で内部を観察できる。
今後、欠陥検出技術の精度を高めつつ、キラー欠陥の分布を統計的に解析したデータを活用し、破壊強度を予測する技術の実証実験にも取り組む。
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