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ミリ波/マイクロ波帯を活用した微小金属検査システムを開発:材料技術
旭化成は、ミリ波/マイクロ波帯の技術を活用し、製造ラインを流れる対象物などに含まれる微小金属を検知する技術を開発した。従来の装置と比較して、フィルムで64分の1、繊維で100分の1の体積を検知できる。
旭化成は2024年3月12日、ミリ波/マイクロ波帯の技術を活用し、製造ラインを流れる対象物(粉体、水を除く液体、繊維、フィルムなど)に含まれる微小金属を検知するシステム技術を開発したと発表した。従来の装置と比較して、フィルムで64分の1、繊維で100分の1の体積を検知できる。
同システムは、誘電率の変化に高い感度を示す空洞共振器を用いている。空洞共振法による検知は、対象物に含まれる微小金属が空洞共振器内に入ったときに、微小金属による共振器内の電場の変化を共振周波数の変化として捕捉する。そのため、金属の透磁率の強弱に影響を受けず、非磁性の微小金属が対象でも高い検出感度が得られる。
従来のフィルム向けの磁気やX線などを活用したインライン検査機では、直径200μm程度の金属微粒子の検出が下限だった。同システムを用いることで、直径50μmまで検出できる。また、繊維の検査では、従来のマイクロ波ドップラー法の検出下限は直径3μm、長さ5mmだったが、同システムにより直径1μm、長さ300μmまでの検出が可能となる。同社は今後、同システムの性能向上を図り、2026年内の製品化を目指す。
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