旭化成の素材戦略、次世代半導体のパッケージ材料や水電解システムに重点投資:材料技術(1/3 ページ)
旭化成は、東京都内とオンラインで説明会を開催し、マテリアル領域における事業ポートフォリオの転換、成長事業の取り組みについて紹介した。
旭化成は2023年12月23日、東京都内とオンラインで説明会を開催し、マテリアル領域における事業ポートフォリオの転換、成長事業の取り組みについて紹介した。
2022〜2024年度に1000億円以上の事業で構造を転換
2023年度におけるマテリアル領域の営業利益は495億円になる見通しで、中国経済、半導体、自動車などの事業環境が悪化し、想定より利益の回復が遅れることが影響するとみている。そのため、収益改善を目的とした事業ポートフォリオの転換が求められている。
2022〜2024年度を対象とした「中期経営計画 2024〜Be a Trailblazer〜」では、「中計期間での効果創出を狙った構造転換」と「中期視点での石油化学チェーン関連事業の構造転換」を掲げた。
前者の構造転換では、スパンボンド不織布事業における共同事業会社の設立、ペリクル事業の譲渡、軽量気泡コンクリート(ALC)を製造する岩国工場(山口県岩国市)の閉鎖、旭化成パックスの事業譲渡を既に実施済み。現在はマテリアル領域における汎用的化学品事業の構造転換を検討中だ。これらにより2021年度実績の売上高で1000億円以上を占める事業で構造転換を図る。
後者の構造転換では、ナフサ分解装置「ナフサクラッカー」の能力最適化とカーボンニュートラルを目的に、ナフサクラッカー産業の再編および代替技術の開発について西日本のパートナー企業と検討を進めている。国内の石油化学チェーンとつながりが薄い同社の製品やエリアについても個別にベストオーナー視点で改革を推進する。これらにより2021年度実績の売上高で6000億円以上を占める事業で構造転換を図る。
ガレージラボで自動車メーカーとの共創を推進
一方、成長事業としているデジタルソリューション、セパレータ、水素関連の事業展開を加速する。
デジタルソリューション事業は、電子部品事業と電子材料事業から成り、xEV(電動自動車の総称)の電子部品やスマートフォンをはじめとするIoT(モノのインターネット)端末、基地局/サーバで使用される高機能デバイス、高速通信用半導体の電子材料を扱っている。
電子部品事業では、化合物半導体素子とミックスドシグナルLSI(高密度集積回路)の両方に強みを持つデバイスメーカーとしてソリューション開発を加速している。コア技術として、センサー技術、アナログ信号処理技術、ソフトウェア/アルゴリズム技術を有し、各コア技術を組み合わせることで既存市場でのポジション向上と新規市場の獲得を推進中だという。
旭化成 専務執行役員の山岸秀之氏は「電子部品事業では最終ユーザーへの価値提供を中心に据えたマーケティング戦略でソリューションビジネスを展開している。例えば、ドイツのデュッセルドルフや米国ミシガン州のノバイ、中国の上海、韓国のソウル、日本の東京にガレージラボを保有している。そのため、磁気や電流などのセンサー、車載デジタルプロセッサ(DSP)、ソフトウェア、チューニング技術を、各国の自動車メーカーと共創できる他、市場動向とバリューチェーンを的確に捉え、顧客へのソリューション提供を実現している」と話す。
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