NVIDIAの新アーキテクチャ「Blackwell」は生成AI特化、汎用人型ロボットにも適用:人工知能ニュース(2/2 ページ)
NVIDIAは「GTC 2024」において、新たなGPUアーキテクチャ「Blackwell」を発表。AI処理性能で前世代アーキテクチャ「Hopper」の5倍となる20PFLOPSを達成。生成AIの処理性能向上にも注力しており、Hopperと比べて学習で4倍、推論実行で30倍、消費電力当たりの処理性能で25倍となっている。
汎用人型ロボットの基盤モデル開発を目指す「プロジェクトGR00T」が始動
新アーキテクチャであるBlackwellは、組み込み機器向けAIボードのブランドである「Jetson」への展開も計画されている。
GTC 2024においてフアン氏は、Blackwellでさらに飛躍的に伸びるAI処理性能と、ロボット開発プラットフォームの「Isaac」やビジョンAIプラットフォームの「Metropolis」、デジタルツイン環境構築プラットフォームである「Omniverse」などによるAIロボット開発の進展を融合し、高度なAI機能を備えた汎用人型ロボット基盤モデルを開発する「プロジェクトGR00T(読み方:ジーアールゼロゼロティー)」を発表した。
GR00Tは、自然言語を理解し、人の動きに合わせた動作を行うとともに、これらに関わる学習を素早く行って実世界での行動に素早く反映していくような、高度なAI機能を搭載した汎用人型ロボットの基盤モデルである。
この高度なAI機能を実現するために開発が進められているのが「Jetson Thor」である。Jetson Thorは、Blackwellアーキテクチャに基づく次世代GPUを搭載することで生成AIの処理性能を大幅に高めた。FP8のAI処理性能で800TFLOPSを発揮し、GR00Tに求められるマルチモーダルなAIの処理の実現を目指す。なお、機能安全対応を図るとともに、現行でフラグシップの「Jetson AGX Orin」を上回るべくより高性能のCPUを採用し、イーサネットも100Gbpsに対応するという。
また、Isaacについても大規模な機能アップデートが行われ「Isaac Lab」「Isaac Manipulator」「Isaac Perceptor」が追加された。Isaac Labは、ロボットシミュレーターの「Isaac Sim」上でロボットの学習を何千回も並行して行えるように、GPUを活用して軽量化を図ったアプリケーションである。
Isaac Manipulatorは、ロボットアーム向けにGPUを用いたAI機能の搭載を容易にするための基盤モデルである。あるタスクに対してロボットアームを動かすためのパスプランニングの速度を80倍にできるなどの効果があるという。日本からは安川電機が、早期エコシステムパートナーとして参加を表明している。
Isaac Perceptorは、AMR(自律搬送ロボット)など向けの複数カメラやLiDARなどのセンサーを用いた自己位置推定機能を短期間で開発できるようにする基盤モデルだ。近年はEV(電気自動車)で知られる中国のBYDが、早期エコシステムパートナーに加わっている。
なお、これらのIsaacの機能アップデートは2024年第2四半期(4〜6月)に行われる予定だ。
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