高性能化が進む無人フォークリフト、人手不足の物流業務の自動化を後押し:物流のスマート化(2/2 ページ)
三菱ロジスネクストは安土工場や滋賀工場を報道陣に公開し、AGF(無人フォークリフト)やAGV(無人搬送車)などの開発現場を紹介した。
製品品質の向上を図る技術開発センター、大型フォークリフトも試験走行
三菱ロジスネクストのフォークリフトの堅牢性を支えているのが滋賀工場内(滋賀県近江八幡市)にある技術開発センターだ。国内3カ所の実験施設を集約する形で設立され、2020年4月から稼働している。エンジン式やバッテリー式、大型から小型まで各種フォークリフトの耐久性、耐環境性などの試験を実施している。
屋外テストコースには汎用路や登坂路、悪路を想定した突起路などを設けられ、小型車両の走行試験が行われている。約350mある直線路では大型のフォークリフトが走行可能だ。今回、最大42t(トン)までの実入りコンテナを運搬可能な港湾作業向けの試作車も披露した。特殊自動車の国内4次排出ガス規制対応のエンジンを搭載している。
三菱ロジスネクストでは大型車両の運転席からは見えにくい箇所が多いため、カメラを搭載してあたかも車両の真上に目があるような1つの映像としてモニターに表示する全周囲モニターシステム「グッドビューア」、AI(人工知能)による映像解析技術により人のみを認識して接近を検知すると警告音とLEDで危険を知らせる「グッドファインダー」も提供している。
4軸加震装置も設置している。加震装置が埋め込まれたテーブルの上に車両を載せ、実際の走行時にセンサーで記録した振動を装置内で再現する。人が運転しなくても自動で振動を加えることができるため効率的に耐久性を検証できる仕組みだ。
その他、動力装置試験室ではバッテリー式フォークリフトの電動モーターやエンジン式フォークリフトのトランスミッション、駆動軸などの性能を試験。マスト試験室では、定格荷重の状態でマストを上げ下げして耐久性を検証する。油圧試験室ではマストの動力となる油圧装置の校正部品である油圧ポンプや油圧モーター、コントロールバルブなどを試験する。
各国の規格に対応するため、車両を傾けて転倒する角度などを把握する安定度テスト装置、−40℃まで庫内の温度を下げられ低温時の動作確認などができる低温試験室、走行時の異音などを計測するため排気機能付きの無響音室も備えている。
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