プラスチック素材を対象としたライフサイクル管理システムの試作品を開発:リサイクルニュース
NECは、プラスチックなどの素材のライフサイクルを管理し、かつ国内外で利用可能なプラスチック情報流通プラットフォームの試作品を開発した。2027年度までの社会実装化と200社の利用を目指す。
NECは2024年2月27日、プラスチックなどの素材のライフサイクルを管理し、かつ国内外で利用可能なプラスチック情報流通プラットフォームの試作品を開発したと発表した。2027年度までの実装化と200社の利用を目指す。
同プラットフォームは、素材を起点にした基盤システムとして、素材開発、製品製造、流通、回収、分別など、ダッシュボード上で素材のライフサイクルの証跡を管理、可視化する。加えて、素材の特徴を表す物性や再生材の情報管理機能、信頼性の高いトラスト機能を取り入れることにより、広範な用途で利用可能にする。
素材の証跡は、素材ベンダーや製品ベンダー、リサイクラーが製造ロット番号や原材料などの情報を同プラットフォームに登録することで管理する。登録した素材や製品のデータは、ブロックチェーン技術で分散管理され、かつシステムに保存するデータの完全性を担保することで、第三者によるデータの改ざんを防止する。
また、コネクター機能により、国内外の他のプラットフォームとデータ連携が可能だ。国内においては、電子マニフェストシステム、DATA-EX、Ouranos Ecosystemと、海外ではGAIA-Xなどとのデータ連携を想定している。データのやりとりについては、NECが持つデジタル署名、検証を活用した真正性機能と、秘匿化したままデータ分析、活用を行う秘密計算技術を使って、GAIA-Xなどの欧州データ連携基盤とのコネクトに必要となるプライバシーやセキュリティに留意する。
今回の試作品は、内閣府主導の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における研究課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」の一環として開発された。今後、同研究課題に参加する東レ、アミタホールディングスと共同で、2024年4月より実証実験を始める。NECは、同プラットフォームを2027年度までに社会実装化し、自動車、建築業務などSIPの取り組みとして200社の利用を目指している。
関連記事
- 印刷済みOPPフィルムを水平リサイクルする実証実験を開始
凸版印刷、三井化学東セロ、三井化学の3社は、印刷済みOPPフィルムを再び軟包材OPPフィルムに水平リサイクルする共同実証実験を開始した。 - キリンがPETを低温かつ短時間で分解できる技術を開発
キリンホールディングスは、PETのケミカルリサイクルに関する2つの新技術を発表した。PETを短時間で分解する「アルカリ分解法」と「電気透析法」によるモノマー精製法を組み合わせ、環境への負荷を抑制しつつ効率的にPETをリサイクルする。 - リサイクル黄燐の国内製造に向けた共同研究契約を締結
東北大学は、スラグ、廃酸、下水汚泥焼却灰などの未利用リン資源から得られるリン酸を原料としたリサイクル黄燐について、国内製造に向けた共同研究契約を住友商事と締結した。 - 三菱ケミカルグループがポリカーボネート樹脂のケミカルリサイクルを事業化
三菱ケミカルグループは、ポリカーボネート樹脂のケミカルリサイクルの事業化に向け、検討を開始した。2023年度中に実証実験を完了し、2030年に年間1万t規模の処理能力を持つことを目標としている。 - 卵の殻がガンプラに、デンカがPS樹脂ベースのサステナブルプラを開発
デンカは、食品産業廃棄物として焼却および廃棄処分される卵殻をPS樹脂に配合したサステナブルプラスチック「PLATIECO」を開発した。 - 住友ゴム、住友理工、住友電工でリサイクル、廃棄物からイソプレン
住友ゴム工業は住友理工や住友電気工業と協業してサーキュラーエコノミーの実現に向けたリサイクル技術を開発する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.