古河電工が高い体積抵抗率を持つ銅系抵抗材を開発、2024年度中に量産:材料技術
古河電気工業は、安定した抵抗値を要求される抵抗器に最適な銅系抵抗材「EFCR」シリーズの新たなラインアップとして、高い体積抵抗率を有する「EFCR-100」を開発したと発表した。
古河電気工業(古河電工)は2024年3月11日、安定した抵抗値を要求される抵抗器に最適な銅系抵抗材「EFCR」シリーズの新たなラインアップとして、高い体積抵抗率を有する「EFCR-100」を開発したと発表した。同製品は、2023年度下期からサンプルを提供し、2024年度中に量産/販売の開始を予定している。
非磁性で高周波が発生する状況下でも安定的な抵抗値
同社は、独自の合金設計技術と製造技術を生かし、銅系抵抗材として高い体積抵抗率(98μΩ/cm)を有するEFCR-100を開発した。多様な環境下における抵抗特性の安定化を実現するEFCR-100は、既に上市済みの「EFCR-30」や「EFCR-44」と同様に抵抗温度係数や対銅熱起電力の絶対値が小さく、温度変化に対して安定的な電気特性を持つ。
さらに、同製品は銅マンガン系合金で、鉄クロム系合金と異なり非磁性であるため、高周波が発生する状況下でも安定的な抵抗値を示す。加えて、鉄クロム系合金およびニッケルクロム系合金に比べ銅めっきの密着性が高いため、電極との接続信頼性も高い。
なお、EFCRシリーズではさまざまな設計およびプロセスに対応するため、異なる強度や伸びなど特徴に合わせたラインアップを展開している。
開発の背景
抵抗器は、電流制御、分流、検知の役割で、自動車や電子機器の電気電子回路に採用されている。用途や設計の多様化が進んでいる他、広範な温度域や磁界の影響を受ける状況など、さまざまな環境下で安定した抵抗値を保つことが求められている。そのため、高抵抗で小型な抵抗器のニーズが高まっている。そこで、古河電気工業はEFCR-100を開発した。
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