ニュース
静岡大学が金のナノ粒子で構成されるカラーフィルムの開発に成功:研究開発の最前線
静岡大学は金のナノ粒子で構成されるカラーフィルムの開発に成功したと発表した。今回の研究で得られた研究成果は、今後フレキシブルディスプレイや宇宙などの過酷環境下においても使えるようなカメラのカラーフィルターへの応用につながると期待される。
静岡大学は2024年2月21日、金のナノ粒子で構成されるカラーフィルムの開発に成功したと発表した。この研究は同大学 工学部 兼 電子工学研究所 教授 小野篤史氏のグループが務めた。
さまざまな色のカラーフィルムの作製に成功
小野氏の研究グループは、直径50nm程度の金ナノ粒子を自己組織化的に集積させた膜(集積させたナノ粒子数はおよそ100億個)を作製し、シリコーンの一種である無色透明なポリジメチルシロキサン(PDMS)を滴下することにより金ナノ粒子固有の発色を示したカラーフィルムとなることを発見した。
このカラーフィルムは金から成るため、顔料や染料といった着色剤とは異なり色あせることがない。PDMSは加熱温度によってフレキシブル性と伸縮性を有し、ガラスのように硬くすることも可能だ。金ナノ粒子の大きさや形状に応じて、青色、緑色、マゼンタ色などさまざまな色のカラーフィルムの作製に成功している。
今回の研究で得られた研究成果は、今後フレキシブルディスプレイや宇宙などの過酷環境下においても使えるようなカメラのカラーフィルターへの応用につながると期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- マイクロプラスチック判別技術の共同研究をスタート、海洋環境保護に貢献
スズキは、タンパク質がプラスチックに吸着、着色する性質を活用したマイクロプラスチック判別技術の共同研究に関する契約を静岡大学と締結した。海洋プラスチックごみの削減など、海洋環境保護に貢献する。 - 印刷済みOPPフィルムを水平リサイクルする実証実験を開始
凸版印刷、三井化学東セロ、三井化学の3社は、印刷済みOPPフィルムを再び軟包材OPPフィルムに水平リサイクルする共同実証実験を開始した。 - DNPが透明導電フィルム市場に再参入、直径11nmの銀ナノワイヤを採用
DNPは粒径11nmの銀ナノワイヤ分散液を用いた透明導電フィルムを武器に、一度撤退した透明導電フィルム市場に再参入する。 - 脱アルミを加速する高機能フィルムと棚卸しで役立つ「RFID一体型パッケージ」
大日本印刷は、従来のフィルムより酸素や水蒸気に対するバリア性と遮光性を高めた機能性フィルム「ハイバリアアルミ蒸着フィルム」や、棚卸しの業務負荷軽減および偽造品対策に役立つ「RFID一体型パッケージ」の開発を進めている。 - ステンレスと同等の強度のポリエチレンフィルムを開発、フッ素樹脂代替で展開
東レは「nano tech 2024 第23回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出展し、超高強度を有する超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)フィルムを披露した。 - 日本航空電子の透明フィルムヒーター、車載タッチパネル向け技術の応用で実現
日本航空電子工業は、「CEATEC 2023」で、開発中の透明フィルムヒーターと既に販売している車載用タッチパネル用を披露した。