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リチウムイオン電池向け人造黒鉛の長期供給契約を締結、4年間で1万tを供給:製造マネジメントニュース
パナソニック エナジーは、EV用リチウムイオン電池の主要な負極材料である人造黒鉛に関して、Novonixと長期供給契約を締結した。Novonixの米国テネシー州の工場から2025年より供給開始となる予定だ。
パナソニック エナジーは2024年2月9日、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の主要な負極材料である人造黒鉛に関して、Novonixと長期供給契約を締結したと発表した。米国テネシー州にあるNovonixの工場で2025年から供給が開始され、4年間で1万トン(t)の人造黒鉛が供給される予定だ。
リチウムイオン電池の負極材料に使われる黒鉛は、天然黒鉛と人造黒鉛で構成される。人造黒鉛は、アチソン炉で1サイクルあたり約30日かけて、約3000℃の高温処理で製造するため、エネルギーコストやCO2排出量の多さが課題だった。一方、Novonixの連続黒鉛化炉技術は、1サイクル約3日で製造し、従来の製造法に比べてCO2排出量を大幅に削減できる。
カーボンフットプリント(CFP)の大半は、資源採掘、原料加工、物流などにおいて発生する。そのため同社は、全工場のカーボンニュートラル化によるCFPの低減だけでなく、環境負荷低減を重要な経営課題としている。
車載用リチウムイオン電池のCFPを2030年度に2021年度比で50%削減することを目標としている同社にとって、今回の契約は、サプライチェーンにおける環境負荷低減という観点で大きな意義を持つ。
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