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ダイハツが新体制に、次期社長はトヨタ中南米本部長の井上氏製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

ダイハツ工業とトヨタ自動車はダイハツの新たな役員体制を発表した。

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 ダイハツの新社長となる井上氏は「新興国に身を置いてきた立場として、市場で求められているクルマについては実感として分かっているつもりだ。不正が起きた海外向けの小型車については、再発防止に向けて経営や風土を改革しながら、トヨタとダイハツのそれぞれの強みを掛け合わせてよりよい方向に全てのステークホルダーが進めるように検討していきたい。アジア市場でのトヨタグループでの戦い方についても1つずつ丁寧に議論して決めたい」とコメントした。

 将来的には、小型車を中心にラストワンマイルの移動まで視野に入れたモビリティカンパニーの役割を担えるよう、あるべき姿を検討するという。

 ダイハツの強みについて、佐藤氏は「モノづくりにおいて最小の原単位にこだわることだ。生産や購買のシステムなどいろいろなものを原単位にこだわって取り組んできた実績がある。会社としていったんペースを落として立て直す中で、この強みを改めて見つめ直したい。ユーザーの声を代弁してくれる全国の業販店のネットワークも強みだ。ユーザーの声をきちんと商品作りに生かせるよう立て直していきたい」と述べた。

新体制の横顔

 井上氏について、佐藤氏は「ブラジルやアルゼンチンの地域経営の再構築など中南米事業の構造改革に長年取り組んできた。難しい決断が多い中で、言語の壁も乗り越えながら現場のメンバーと徹底的に対話をして改革を前に進めてきたリーダーだ。コミュニケーションを大切にしてきた経験を生かしてダイハツの再生をけん引してほしい」と語った。

 新社長となる井上氏は「トヨタ自動車に入社して36年、約半分を主に新興国で過ごしてきた。人の話を聞くためにはまず自分から話しかけて相手からの信頼を得ないと本音を聞かせてもらえないことを経験した。ダイハツでも、まずは自分が現場に出向き、自分から話しかけて信用してもらうことから始めたい。従業員やステークホルダーと徹底的に対話して、今後のダイハツの在り方を定めたい」と抱負を述べた。

 次期副社長の桑田氏は生産拠点であるトヨタ自動車九州でのモノづくりの現場経験を生かして組織風土の改革に取り組む。非常勤の取締役に就任する柳氏は認証の実務経験が豊富だという。また、ダイハツでの社歴が長い星加氏が副社長として残ることで、ダイハツらしさについても改めて議論していく。

 佐藤氏は「42年間ダイハツを見てきた星加は、かつてのダイハツが助け合えて、お互いを思いやれる会社だったと原風景について話している。全従業員でダイハツらしさを考えていきたいということもあり、この新体制の人事となっている。星加からは辞任の提案があったが、現場に主権を戻すという目標に向けてダイハツをよく知る人間としてダイハツらしさを取り戻すために取り組んでほしいと伝えている」と述べた。

現場からの信頼獲得へ

 今後の課題となるトヨタ自動車とダイハツのコミュニケーションについては、佐藤氏と井上氏のこれまでの関係を生かして強化していく。社長と地域の責任者としての間柄になる以前から両氏は毎週のように会話をしており、カジュアルにもやり取りできることから、「有事ではなく平時の会話を豊富にしていくことが大切になる。井上とのこれまでの関係を今後も継続していきたい」(佐藤氏)としている。

 ダイハツの立て直しはトヨタグループ全体の問題であると位置付け、トヨタ自動車東日本 会長の宮内一公氏がトヨタ自動車 代表取締役会長の豊田章男氏の代理としてダイハツの社内で現場の声を集めている。「会議室で仕事をするのではなく、現場に行って会話をして、何が起きているのかを見て、一緒に悩むということがこれまで十分にできていなかった。仲間だと思ってもらうには、苦しいことや悩みを話すと助けてもらえる、味方になってもらえるという実感が必要だ。その実感を持ってもらえるまで本音は出てこない。時間はかかるが、これが重要だと考えている」(佐藤氏)

 開発期間を1.4倍に増やすことについて井上氏は「新商品を次々に投入することが販売台数につながるわけではない。必要なタイミングで商品が切り替わることが重要だ。商用車と乗用車のニーズの違いもある。開発期間と商品の投入時期、商品の競争力のバランスをとりながらサイクルを回していきたい」とコメントした。

 トヨタ自動車の責任などについて質問された佐藤氏は「志を同じくするからこそ、目指せる未来がある。ビジョンを共有するためのコミュニケーションに一緒に汗をかいて取り組み、その中で正しいプロセスや仕事の進め方について問いかけ、語り合いながらやっていくことが責任の果たし方であると認識している。今回の体制変更にダイハツの経営陣に対する処分や引責辞任という意味合いはなく、辞任は本人からの申し出だった。 当初は、ダイハツをトヨタに一体化することも含めて検討してきたが、ダイハツの従業員の本音や生産拠点のある地域の声、販売店と業販店からの叱咤激励や応援などを聞く中で、100年を超える歴史でダイハツが守ってきたものを踏まえてダイハツの本来の役割をもう一度任せたいという結論に至った」と述べた。

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