ニュース
使用後にインキを脱離し、基材を再利用できる導電性シートを開発:リサイクルニュース
マルアイは、リサイクル可能な導電性シートを東洋インキと共同開発した。プラスチック基材から導電インキを脱離することで、プラスチック原料として再利用できる。
マルアイは2024年1月25日、リサイクル可能な導電性シートを東洋インキと共同開発したと発表した。プラスチック基材から導電インキを脱離することで、プラスチック原料として再利用できる。
同製品は、マルアイの導電シート「スーパークリーンシート」と東洋インキの「脱離技術」を組み合わせたものだ。
導電性シートの基材であるプラスチックを、アルカリ処理で溶解する脱離層で挟み、さらに導電インキの層で挟む構成になっている。脱離層を加えても、シートの表面抵抗値や真空成型性は保持される。シート使用後は、アルカリ溶液中での熱処理などによって脱離層が溶解すると、インキが基材から離れてプラスチックを回収できる仕組みだ。
脱離した導電インキは、膜の状態でアルカリ溶液中に浮遊するため、この膜を除去することでアルカリ溶液も再使用できる。
プラスチック基材に導電、帯電防止インキをコーティングした導電性シートは、電子部品を静電気から保護する目的で、部品搬送用のトレイなどに用いられている。しかし、使用後はプラスチックとインキの分離が困難であること、リサイクルに必要な工程が複雑でコストが高いことなどから、これまではほとんどが廃棄されていた。
同社は今後、プラスチックの資源循環を目指し、廃プラスチックの回収から再生までのスキームを具体化していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “柔らかい”導電性熱可塑性ウレタン樹脂、インク用顔料は分散材が不要に
大日精化工業は、カーボンナノチューブを用いた導電性熱可塑性ウレタン樹脂と分散剤が必要ないインクジェット印刷向けインク用顔料の開発を進めている。 - エプソンが高機能な導電性繊維を製造する東北大発スタートアップに出資
セイコーエプソンとエプソンクロスインベストメントは、高機能な導電性繊維「LEAD SKIN」を開発/製造する東北大学発スタートアップのエーアイシルクに出資した。 - 液相法を採用したナノカーボンコーティング技術を開発、シリカに導電性を付与可能
日本触媒は、材料/加工機械の総合展「第14回 高機能素材 WeeK」内で、独自開発したナノカーボンコーティング技術を披露した。 - “透明”をどう使う? 高い透過率を示す透明導電フィルムの使い道を提案
パナソニック インダストリーは、「CEATEC 2023」において、透明の車載用ヒーターや5Gアンテナ、電磁波シールドなど、透明導電フィルム「FineX」のさまざまな用途提案を行っている。 - 息を吹きかけるだけでがんの有無を診断、NIMS発ベンチャーが手掛けるMSSの可能性
物質・材料研究機構発の嗅覚センサーのベンチャー企業であるQceptionは、「CEATEC 2023」で、販売している膜型表面応力センサー(MSS)を披露した。 - DNPが透明導電フィルム市場に再参入、直径11nmの銀ナノワイヤを採用
DNPは粒径11nmの銀ナノワイヤ分散液を用いた透明導電フィルムを武器に、一度撤退した透明導電フィルム市場に再参入する。