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液相法を採用したナノカーボンコーティング技術を開発、シリカに導電性を付与可能材料技術

日本触媒は、材料/加工機械の総合展「第14回 高機能素材 WeeK」内で、独自開発したナノカーボンコーティング技術を披露した。

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 日本触媒は、材料/加工機械の総合展「第14回 高機能素材 WeeK」(2023年10月4〜6日、幕張メッセ)内の「第12回 プラスチック ジャパン【高機能プラスチック展】」に出展し、独自開発したナノカーボンコーティング技術を披露した。

 同技術は、対象の無機粒子に1nmまでの極薄均一なナノカーボンコート層をコーティングできる他、ナノカーボン層の効果により粒子表面にさまざまな機能を加えられる。付与できる機能としては、付与できる機能は、分散性、導電性、熱伝導性、潤滑性、耐摩耗性、充填性、流動性などで、強度向上も図れる。


同社のナノカーボンコーティング技術のイメージ[クリックで拡大] 出所:日本触媒

 ナノカーボンコーティング可能な粒子は、アルミニウム、鉄、銅、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの金属/セラミックス粒子となっている。一例を挙げると、絶縁性のシリカにナノカーボンコーティングを施すことで導電性を付与できる。


同社のナノカーボンコーティング技術の活用例[クリックで拡大] 出所:日本触媒
流動性を高めるナノカーボンコーティングを行ったローカーボンタイプのステンレス「SUS316L」(左)と未加工のSUS316L(右)の粒子、左の粒子の方がスムーズに移動

 日本触媒の説明員は「最大の特徴は、ナノカーボンのコーティングに、化学反応により液中に溶けた対象物質で核を形成し、その核を成長させたナノ粒子を生産してコーティングする液相法を採用している点だ。液相法は、多様な物質の薄膜を形成する堆積法である気相法と比べ、対象の粒子表面にムラなく均一にコーティングできる。加えて、本技術は表面のみを機能化するため、対象粒子の性能に大きな影響は与えない」と話す。

 さらに、液相法は量産性に優れているが、不純物が混入しやすいという弱点もある。そこで、同社では、高いレベルのナノカーボンコーティングが求められる半導体材料を対象とせず、導電/放熱/潤滑フィラーや焼結体原料(3Dプリンタ材料、粉末治金)などをメインターゲットとして想定している。「現状は小ロットでのナノカーボンコーティングにしか対応できないが、引き合いや採用などの増加に合わせて、スケールアップも検討していく」と説明員は語った。

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