三菱重工業と日本触媒は2023年8月21日、アンモニア分解システムの共同開発契約を締結したと発表した。
両社はアンモニア熱分解触媒を用いたシステムを共同開発する。三菱重工はアンモニア製造プラントなど国内外での化学プラントの納入実績や、アンモニアや水素のハンドリング技術のノウハウを生かす。日本触媒は、アクリル酸触媒をはじめとするプロセス触媒や、自動車の排ガス触媒など触媒技術を提供する。
アンモニアは水素を安全かつ大量に長距離輸送し、貯蔵できる水素キャリアの1つで、アンモニアから水素を取り出すにはアンモニア分解技術が不可欠だ。日本の「燃料アンモニアサプライチェーンの構築」プロジェクトをはじめ、欧州などでもアンモニアサプライチェーン構築が計画されており、今後の市場の伸長が期待されている。
三菱重工グループは2040年のカーボンニュートラル達成に向けて、エネルギー供給側の脱炭素化を目指す「エナジートランジション」に取り組んでいる。水素とアンモニアのサプライチェーン構築は、脱炭素技術の早期確立や社会実装に貢献する取り組みと位置付けている。
日本触媒は2030年までの長期ビジョンで環境対応に向けた変革を掲げており、世界のCO2排出量の削減に貢献する技術開発や、最終製品のライフサイクル全体でのCO2排出を削減できる素材やソリューションの提供などに取り組む方針だ。アンモニア分解触媒の開発や社会実装もその一環となる。
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