産業用PC1台でロボットを含めた生産ラインの同期制御を実現、AMRにも展開可能:IIFES 2024
モベンシスは、「IIFES 2024」において、産業用PCでリアルタイム制御を実現するソフトモーション技術「WMX3」のロボット制御への適用事例をアピールした。
モベンシスは、「IIFES 2024」(2024年1月31日〜2月2日、東京ビッグサイト)において、産業用PCでリアルタイム制御を実現するソフトモーション技術「WMX3」のロボット制御への適用事例をアピールした。
EtherCATやCC-Link IE TSN、MECHATROLINKなどさまざまな産業用ネットワークで利用可能なWMX3だが、モーターやステージ、コンベヤーなどに用いられるアクチュエーターのリアルタイム制御に加えて、オプションでロボット制御機能も提供している。このロボット制御機能と通常のソフトモーションを組み合わせれば、1台の産業用PCでロボットや搬送系、装置の動きを同期制御することが可能だ。1台の産業用PCで制御するので、WMX3のライセンスも1つだけで済むなどコストメリットも大きい。
展示では、ニコンの協働ロボット用関節ユニット「C3 eMotion」を用いたセルフビルドロボットと、GMCヒルストンの単軸ロボットをベースにした搬送系を、WMX3を組み込んだモベンシスの産業用PC「Dunamis IPC」で同期制御するデモンストレーションを披露した。
またモベンシスは、2023年4月に米国のAMR(自律移動ロボット)スタートアップであるSkylla Technologiesを買収している。このSkyllaのAMRソフトウェアプラットフォーム「Jetstream」とWMX3の連携により、協働ロボットを上物として搭載したAMRの制御を1台の産業用PCで同期制御させられるようになる。「JetstreamはカメラやLiDARを用いてAMRのナビゲーションを行うソフトウェアでDMG森精機などにも採用されている。Jetstreamのナビゲーションを基にAMRの動作を制御するためには、サーボモーターを制御するPLCなどが別途必要だった。そこで、JetstreamとWMX3を1台の産業用PCに組み込んで連携させればPLCは不要になる。また、WMX3のロボット制御オプションを活用すれば、AMRに搭載した協働ロボットの制御もこの産業用PCで行えるのでOne PCソリューションを実現できる」(モベンシス 代表取締役社長の佐藤恭祐氏)という。
なお、JetstreamとWMX3の連携によるAMR制御については、アドバンテックが展示した工場DX(デジタルトランスフォーメーション)のデモンストレーションの一つとして披露された。同デモは、コンベヤーラインをCODESYSによってPC制御しながら、AI(人工知能)カメラで搬送物となっている箱の中からNG品を選別し、ラインから取り除いたNG品をAMRで搬送しコンベヤーラインに再投入するという内容になっている。これらの状況は全て、大型モニターに映し出したアドバンテックの「WebAccess/SCADA」で確認できる。NG品を搬送するAMRは、アドバンテックの産業用PCにJetstreamとWMX3を組み込んで制御しているという寸法だ。
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