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日立のIoT対応産業用コントローラー、C言語対応にソフトサーボ「MXR2」を採用FAニュース

日立グループが2016年12月下旬に発売するIoT対応産業用コントローラー「HF-W/IoTシリーズ」の新製品「HF-W100E/IoT」で新たに加わったC言語対応モデルは、ソフトサーボシステムズのモーション制御ソフトウェア「MXR2」を採用した。

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日立のIoT対応産業用コントローラーの新製品「HF-W100E/IoT」
日立のIoT対応産業用コントローラーの新製品「HF-W100E/IoT」 出典:日立製作所

 日立製作所、日立産業制御ソリューションズ、日立産機システムは2016年10月、IoT(モノのインターネット)対応の産業用コントローラー「HF-W/IoTシリーズ」に、新製品となる「HF-W100E/IoT」を追加した(関連記事:IoT対応産業用コントローラーにC言語対応モデルなど3種を追加)。同年12月下旬から販売を開始する。

 HF-W100E/IoTは、ファンレス化や小型化を図るとともに、耐環境性を高めることで、産業機械/設備への組み込みが容易なことが特徴。PLC言語対応モデル、CNC搭載モデルに加えて、今回新たにC言語対応モデルが加わった。

 HF-W/IoTシリーズは、2015年11月の発表段階からオープン化をうたっており、標準規格であるIEC61131-3に準拠するPLC5言語に対応するとともに、これらPLC5言語に対応するソフトウェアベースのモーション制御(以下、ソフトモーション)が可能なソフトウェアとして広く用いられている3S-Smart Software Solutionsの「CODESYS」を採用。また産業用ネットワークとして、トヨタ自動車の採用で注目を集めているEtherCATを用いている。

オープン化をさらに推し進めるC言語対応モデル

 HF-W100E/IoTのPLC言語対応モデルは、ハードウェアを除けば、これらの方向性を踏襲する製品となっている。一方、HF-W100E/IoTから新たに加わったC言語対応モデルは、日立グループが目指すオープン化をさらに推し進める製品だ。一般的な組み込みシステム開発者が用いるC言語にも対応することで、さらなる高い汎用性を実現できる。

 ただし、PLC言語対応モデルと同様に、C言語対応モデルでソフトモーションを実現するには、CODESYSとは異なるソフトウェアが必要だ。そこで日立グループが採用したのが、ソフトサーボシステムズの「MXR2」と、米国Interval ZEROのリアルタイムプラットフォーム「RTX」である。

 MXR2は、EtherCATに特化することによって、一般的なWindowsが動くPCの演算能力をフル活用してのモーション制御が可能になるソフトウェア「WMX2」に、独自のリアルタイム機能を開発するためのAPIを組み合わせた製品だ。

ソフトサーボシステムズ社長の梁富好氏
ソフトサーボシステムズ社長の梁富好氏

 ソフトサーボシステムズ社長の梁富好氏は「C言語プログラミングによるモーション制御とEtherCAT対応を、一般的なPCのハードウェア構成によって全てソフトウェアで実現しようとする場合、当社のMXR2以外にほぼ選択肢はないだろう」と説明する。

 梁氏は、産業用ロボットや工作機械、半導体製造装置、表面実装機といったモーション制御を行う産業機器を開発する上で、C言語プログラミングは必須になっていくとみている。「IEC61131-3準拠のPLC言語は規格内で定義された動きを再現するものだ。しかし、今後の産業機器は、その定義に収まりきらない、より複雑な動きを求められようになる。例えばこれまで10軸で動かしていた装置が、20軸、30軸と軸数がどんどん増えていく。タクトタイムも10秒に1個だったところを7秒に1個に短縮しなければならない。そういった複雑なモーション制御の設計はC言語プログラミングでなければ難しい」(梁氏)という。

 またMXR2が採用された理由として梁氏が挙げるのが、独自開発のEtherCATマスターだ。サーボモーターなどのアクチュエータ側に組み込まれるEtherCATスレーブは、さまざまなメーカーからICやI/Oモジュールなどが提供されている。しかし、制御装置側に組み込むEtherCATマスターは、規格上はソフトウェアで実現できるとなっているもののその作り込みはかなり難しい。「さまざまなEtherCATスレーブに対応するとともに、EtherCATスレーブ側で起きた問題を吸収できるようにするにはEtherCATマスターの作り込み次第になる。EtherCATの規格化を行うETG(EtherCAT Technology Group)の活動に長年参加してきた当社が独自に開発したEtherCATマスターなくして、今回の採用はなかった」(同氏)。

 また、リアルタイムプラットフォームであるRTXへのMXR2やEtherCATマスターの最適化も万全だ。これは、RTXを提供するInterval ZEROとソフトサーボシステムズがほぼ姉妹企業と言ってよく、ソフトモーションの普及に向けて長年ともに歩んできた関係にあるからだ。

 梁氏は「今回の日立グループによるMXR2の採用は、当社にとって大きな節目になる。これまで、韓国の半導体製造装置メーカーなどへの採用を決めてきた実績はあるが、自社の営業力だけでは限界がある。国内の産業用PC市場でトップレベルの実績を持つ日立グループと活動できれば、一気に採用を広げることができるだろう」と述べている。

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