DNPがUBEと協業、素材分析における新たな価値創出を目指し:製造マネジメントニュース
大日本印刷は、素材分析における新たな価値創出を目指し、2024年4月から合弁会社でUBEと協業を開始することに合意したと発表した。
大日本印刷(DNP)は2024年1月26日、素材分析における新たな価値創出を目指し、2024年4月から合弁会社でUBEと協業を開始することに合意したと発表した。
DNPは、UBEのグループ会社で有機/無機および高分子化合物の分析を行うUBE科学分析センター(USAL)の発行株式66.625%の株式取得を通じて、UBEと共同でUSALを運営する。さらに、UBEは33.375%の株式を引き続き保有することで、USALは両社の合弁会社となる予定だ。
株式譲受の目的
DNPは、光学フィルムなどの「デジタルインタフェース関連」「半導体関連」「モビリティ/産業用高機能材関連」などを注力事業領域と定め、付加価値の高い新製品の開発を推進している。
それらを支える技術の深耕や掛け合わせによる新しい価値創出、知的財産の戦略的確保を目的に、開発に必要な分析/評価に強みを持ち、高度な分析技術や機器、専門人材を有するUSALをグループ会社とする。USALとの連携により知的財産の面から事業ポートフォリオを強化する。
UBEは独創的な技術力と革新的なモノづくりで社会課題の解決への貢献を目指している。2022年4月に宇部興産からUBEへ社名変更を行い、中期経営計画では「スペシャリティ化学の成長」と「地球環境問題への貢献」を両輪とする持続的成長を打ち出し、事業構造改革を推進。また、スペシャリティ化学領域では、新規事業の創出に向けたマーケティング活動を通じて、顧客のニーズに応えることを主眼とした技術戦略を策定し、取り組んでいく。
両社は、4月1日より合弁会社としてUSALを運営することを機に、UBEの素材技術やDNPの持つ加工技術などを生かした相乗効果の創出に向けた協業も検討している。
USALの概要
USALは、1987年に宇部興産(現:UBE)の研究開発部門から分析/評価グループが分離/独立して誕生した。有機/無機、各種材料の組成分析、構造解析、表面分析、形態観察、超微量分析、安全性評価など、さまざまな分析/評価を自動車、エレクトロニクス、ライフサイエンスといった多様な業界へ提供している。
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