現場での事故ゼロやGHG排出量削減のためにレゾナックが何をしているか:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
レゾナックは2023年12月11日、オンラインで説明会を開き、現場での事故ゼロやリスクマネジメントへの対応、環境負荷の低減などに向けたサステナビリティ戦略を紹介した。
2025年に向けたリスクマネジメント
2025年に向けたリスクマネジメントでは、教育と訓練の強化による従業員のリスク感度向上やオペレーショナル・ハザードリスクと外部環境リスクに基づく戦略立案、事業継続マネジメント(BCM)/事業継続計画(BCP)などにも効果がある管理体制の整備を進めている。しかしながら、現時点では、外部環境の変化に伴うリスクの特定や不確実性の高い状況でのリスク評価と管理体制の強化が難しいという。
解決策の1つとして、リスクの特定では、外部環境の変化により現場から寄せられるリスクを「報告型リスク」、政府や業界団体などから発表されるリスクを「警鐘型リスク」とすることでカテゴライズしている。さらに、カテゴライズされたリスクを可視化する全社リスクマップの作成も進めている。これらにより重大リスクを特定できるようにする見込みだ。
統合の影響でScope3の算定に課題
環境負荷の低減については、2050年にGHG排出量ネットゼロの実現に向けて、2030年に基準年である2013年比でGHG排出量の30%削減や再生可能エネルギー導入率60%などを目標に設定している。なお、ケミカルセグメントの石油化学事業や化学品事業などのGHG排出量が多い部門だけでなく、全事業で2030年に2013年比でGHG排出量を30%減らす。この目標を達成するために、再生可能エネルギーの導入やバイオマスなどへの燃料転換なども推進する。
また、全社横断のカーボンニュートラルプロジェクトを開始しており、毎月のサステナビリティ推進会議でサステナビリティ/環境に関連する方針の整備やカーボンニュートラルに関する全社横断の研究開発計画などを議論している。カーボンニュートラルプロジェクトでは、全てのCXO部門や事業部門と連携しつつ、CTOを中心に中長期の技術開発も行っている。
今後は、Scope3(Scope1、2を除く事業者の活動に関連する他社のGHGの排出量)の算定を行うシステムの構築や目標の検討、2030年と2050年を見据えたGHG排出量削減計画の毎年の見直し、目標設定レベルの再検証などを行う。
同社 サステナビリティ部 企画・推進グループリーダーの上山留美氏は「パリ協定が求める水準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標のSBT(科学的根拠)基準で、2030年に2013年比でGHG排出量の30%削減できる見通しだ。ただ、2030年以降も年率4.2%以上で削減を継続しなければ2050年にカーボンニュートラルを達成できないが、化学品を扱う当社はScope1(燃料の使用や工業プロセスでの直接排出のGHG排出量)が多くその削減は簡単ではなさそうだ。加えて、統合の影響でScope3の算定に時間がかかっているなど複数の課題もある」と語った。
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