現場での事故ゼロやGHG排出量削減のためにレゾナックが何をしているか:製造マネジメントニュース(2/3 ページ)
レゾナックは2023年12月11日、オンラインで説明会を開き、現場での事故ゼロやリスクマネジメントへの対応、環境負荷の低減などに向けたサステナビリティ戦略を紹介した。
レゾナック流の安全な現場の構築法
具体的には、安心・安全な職場に関して、レゾナックでは“安全”を企業価値創造の基盤であり製造業であるための資格と捉え、「みんな(社員)にとって安全で安心」は相互啓発型安全文化と高度な安全管理基盤から成ると考えている。
相互啓発型安全文化の構築では、その醸成活動としてセーフティーコミュニケーションプログラム(SCP)の推進や国内事業所長の安全研修、リージョン交流会などを行っている。SCPでは、上長に現場の巡視を促し、安全に関するフェルトリーダーシップ(率先垂範)の醸成とコミュニケーションの活性化を図っている。同社 環境安全部長の才畑明子氏は「上長の現場巡視では、安全に作業を行っている部下を認めてほめたり、面倒な作業を見つけて一緒に改善方法を検討したりしている」とコメントした。
国内事業所長の安全研修では課題を共有し改善策を議論できるようにし、リージョン交流会では新しいメンバーと学び合える環境を社員に提供。安全管理基盤の構築に向け、リスクベースマネジメントシステムの再構築や製造サイトの個別課題の見える化、リスクアセスメントシステムの構築なども行っている。
これらの取り組みにより、2023年において、重大労働災害発生件数を1件、重大設備事故発生件数ゼロ件、環境事故発生件数1件を実現している。
2024年から3つの防壁でリスクをマネジメント
一方、同社では、リスクマネジメントとは、事業経営に与えるリスクとその影響を明確にし経営判断につなげることで資源の適正配分を実現することと定義した上で、「統合的リスクマネジメント推進」ではオペレーショナル・ハザードリスクと外部環境リスクへの対応が重要だと考えている。
同社 リスクマネジメント部長の筒崎智孝氏は「レゾナックに統合する前の旧昭和電工と旧日立化成にはリスクマネジメントの専任部署がなかった。旧昭和電工ではCSRO総務部にリスクマネジメントの担当者が1人だけ所属し、旧日立化成では法務部/コンプライアンス部門にリスクマネジメントの担当者が2人だけ配属されていた。統合によって売上高1兆円の企業となったレゾナックで、この人数の担当者だけでリスクマネジメントに対処できるか分からずもやもやしていた。しかし、現在は、自部門だけで解決せず各部門と連携できる体制を構築しリスクマネジメントに対応できるようにしている」と述べた。
2024年におけるリスクマネジメントの推進体制では、リスクマネジメント委員会に経営会議のメンバーが参加し、幹部がリスクマネジメントのサイクルに直接関与できるようにする。リスクマネジメント委員会で議論されるオペレーショナル・ハザードリスクと外部環境リスクについては社内の専任組織がCSO(戦略立案)とCRO(リスク管理)を行う。
「リスクマネジメントに対してはファースト/セカンド/サードのディフェンスラインを設けている。ファーストディフェンスラインは事業部/事業所/子会社など各ビジネスユニットが、セカンドディフェンスラインは本社コーポレート部門のCXO組織が、サードディフェンスラインは内部監査部門が担う。ファーストディフェンスラインでは各部門のリーダーや社員が自部門のリスクを考え対策を練れるようにし、セカンドディフェンスラインでは、策定した規定が社内で正しく運用されているかを確かめ、運用されていない部門には是正を促す。サードのディフェンスラインでは最後の関門として不祥事が起きないようにリスクをつぶしていく」(筒崎氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.