GHG排出量を4割削減する飲料缶用のフタを開発、アルミ新地金の使用量を削減:リサイクルニュース
東洋製罐は、UACJと共同で、温室効果ガス排出量がアルミ新地金の約3%であるリサイクル原料の使用量を大幅に引き上げることにより、GHG排出量を約4割削減した飲料缶用のフタ「EcoEnd」を開発したと発表した。
東洋製罐は2023年12月4日、UACJと共同で、温室効果ガス(GHG)排出量がアルミ新地金を使用した場合に比べて約3%まで減少するリサイクル原料の使用量を大幅に引き上げることにより、GHG排出量を約4割削減した飲料缶用のフタ「EcoEnd」を開発したと発表した。
現行の飲料缶フタと比較し、10億枚当たりのGHG排出量が約1.3万トン(t)削減される(同社調べ)。さらに、EcoEnd1個当たりのGHG削減量および同社における現行仕様のSOT(ステイオンタブ)缶向けフタの2019年度製造実績を基に算定すると、同社が国内で販売する飲料缶フタが全てEcoEndに置き換わった場合、年間約14万t削減される見込みだ。
EcoEndの開発により、今後はフタにより多くの使用済み飲料缶などの再生材が循環使用されることとなり、新地金の使用量削減に伴うGHG排出量の減少につながることが期待される。
なお、東洋製罐の親会社である東洋製罐グループホールディングスとUACJは、アルミ缶の水平リサイクルのさらなる推進を目指し、2023年2月6日付で業務提携契約を締結しており、EcoEndの開発も同提携における取り組みの一環となる。
EcoEndの開発経緯
これまでは、飲料缶用のフタは材料の加工性や強度など一定の品質を確保するために多くの新地金を使用することが通例となっていた。そこで、UACJによる材料製造技術と東洋製罐によるフタ成形技術を新たに組み合わせることで、新地金の使用量を減らした場合においても現行フタと同等の品質性能をもたせることが可能となる次世代フタの開発を実現した。フタの厚みに変更がないため、飲料充填後のフタを取り付ける設備変更も不要となっている。
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