いすゞ自動車は2023年11月29日、400億円を投資して藤沢工場(神奈川県藤沢市)に電動開発実験棟を新設すると発表した。商用車の電動化に適したシステムやコンポーネントを開発するための実験設備や評価設備を導入する。2026年6月の稼働を目指す。
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、いすゞグループは2030年までに全車種に電動車を展開する。EV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)に必要なシステムやコンポーネントを自ら評価、開発し、より高度な車両開発につなげるため、電動開発実験棟を新設する。
藤沢工場の第1・第2実験棟跡地に、地上5階建ての実験棟を建設する。延べ床面積は2万7000m2。屋上などに太陽光パネルを設置する他、実験棟内の設備から回収した排熱を空調に利用してCO2排出量を削減する。また、バッテリーの評価設備の電力回生により消費電力も低減する。
電動開発実験棟には、バッテリーやモーター、電動システム、熱マネジメント向けの評価設備を導入する。バッテリーの特性を詳細に把握し、最大限の性能を発揮するバッテリーマネジメントの実現を目指す。また、バッテリーやモーターなどコンポーネントを組み合わせた状態で、機能や熱マネジメントを最適化する。FCVの走行可能距離や走行性能の改善にも取り組む。
いすゞグループはカーボンニュートラルや物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けて1兆円を投資することを発表しており、電動開発実験棟の新設もその一環となる。
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