商用車メーカーが自工会会長を務める理由:自動車業界の1週間を振り返る(1/2 ページ)
1週間おつかれさまでした。今週は日本自動車工業会が会長交代を発表し、その人事に驚いた方もいらっしゃるかもしれません。
1週間おつかれさまでした。今週は日本自動車工業会(自工会)が会長交代を発表し、その人事に驚いた方もいらっしゃるかもしれません。
2018年以来自工会会長を務める豊田章男氏(トヨタ自動車 会長)から、2024年1月1日付で片山正則氏(いすゞ自動車 会長)にバトンタッチします。これまで、歴代の会長はトヨタ自動車と日産自動車、ホンダでの持ち回りだったので、3社のいずれでもないのは異例です。
ちなみに、1967年に自動車工業会と日本小型自動車工業会の合併で現在の自工会が誕生した後、1995年までは日産自動車とトヨタ自動車のトップが交代で自工会会長を務めており、任期も最近よりは長めだったようです(1994〜1995年、1995〜1996年は連続してトヨタ自動車から会長が就任)。ホンダが初めて自工会会長を務めたのは2002年で、そこからトヨタ自動車→ホンダ→日産自動車という2年ごとの輪番になっていきました。
商用車メーカーであるいすゞ自動車が自工会の会長を務めるのは、差し迫った物流の2024年問題への対応が理由の1つです。商用車の業界団体は日本自動車車体工業会もありますが、自工会では車体や架装ではなく運行管理やエネルギーマネジメントなどで協力を推進します。また、「解決のための行動を乗用車や二輪車にもつなげていく」(豊田氏)としており、自工会ならではの成果にしていく方針のようです。
豊田氏は「誰が次期会長をやるかというよりも、自動車産業として何を課題に持つかという視点で副会長たちが議論した上で誰が適任かを総意で決定した」と述べています。また、片山氏は「協調すべき課題が多い商用車領域が当面のペースメーカーになるべきとの結論に至り、2024年1月からの新体制が決まった。物流に関わるデータのデジタル化と標準化を進め、共有できる体制を作る。また、高速道路でのレベル4の自動運転への期待も高まっており、積極的に参画していきたい」と説明しています。
副会長は、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、スズキ、ヤマハ発動機が参加する現在の6人体制を継続します。乗用車、軽自動車、二輪車の代表が副会長に参加する体制となったのは、前回(2019年)の東京モーターショー以降進められてきた自工会の改革の一環です。
「フルラインアップ体制の他、理事会のスリム化を進めて各社のトップ1人が参加する議論の場にしてきた。かつては形式張った話し合いが中心だったが、競争相手でもあるメンバーと協調領域について本音に近い議論ができるようになってきた。委員会や部会も再編してスリム化した。副会長が担当する課題を決め、その下に、委員会をつける体制にする。自工会全体がフルラインアップで回る体制が出来上がってきた」と豊田氏は改革を振り返ります。なお、豊田氏は日本経済団体連合会(経団連)のモビリティ委員会の委員長は継続して務めます。
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