日本発の商用軽EV、外装パーツの共用化でコストを抑え200万円で2025年に販売:ジャパンモビリティショー2023
HWエレクトロは、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」において、商用軽EV「PUZZLE」のコンセプトカーを披露した。
HW ELECTRO(以下、HWE)は、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー、旧東京モーターショー)」(プレスデー:2023年10月25日〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日、東京ビッグサイト)において、商用軽EV「PUZZLE(パズル)」のコンセプトカーを披露した。
HWEは2019年5月に設立されたファブレスの電気自動車(EV)ベンチャーである。主に小型商用車をターゲットとしており、2021年4月から輸入小型の電気商用車として国内で初めてナンバーを取得。2021年7月から多用途小型電気商用車「ELEMOシリーズ」の展開を進めている。
今回新たに発表したパズルは、これまでのELEMOシリーズで培った経験を生かしつつ、HWEとして掲げているコアバリュー「サステナビリティ」「コネクティビティ」「社会貢献」を1つの車両に再現することを目指して開発した新車種だ。「PUZZLE(パズル)」という名称は「社会のさまざまな問題に対し1社だけでは解決できないことも多い。しかし、課題解決に取り組むさまざまな社会での取り組みに対しその1つのピースとして役立つことはできる。そういう意図を込めた」とHWE 代表取締役社長の蕭偉城(ショウ・ウェイチェン)氏は述べている。
HWEでは物流のラストワンマイルにおける課題解決を進めることを目指しているが普及を広げるためには商用車としてのコスト抑制は必須だ。最終製品としては「航続距離1km当たり1万円」をターゲットしており、パズルについては1台当たり200万円(税別)の実現を目指している。そのため設計/開発においても、新機能は盛り込みつつもコスト抑制を進める必要があった。
そのための取り組みの1つが、外装パーツの共用化だ。具体的には、フロントバンパーと屋根の前端部分、右前と左後のドアパネル、左前と右後のドアパネルなどの箇所で全く同じパネルを採用している。この他にも互換性のある共通パーツを各所に使用することで、製造時の無駄を省き生産性を高めるとともに、調達などにおいてもコスト競争力を高めることができたという。ELEMOシリーズではパーツは約400種類だったが「その数値よりは低減できる」(説明員)。
また、パズルでは、車室空間を広くとる空間設計を徹底している。荷室空間は既存サイズをフルに生かした直方体とし、さらに、内装においてもピンボードパネルを採用することで、さまざまなインテリアパーツを自由に配置できるようにしている。必要がない場合はインテリアパーツを装着せずにスペースを空けることなども可能だ。
パズルの外形寸法は、3395×1475×1920mmで、ホイールベースは2480mm、乗員定数は2人で、最大積載量は350kgとなっている。
HWEでは現在、パズルのコンセプトカーを元にした量産モデルの計画を進めており、2024年末〜2025年春での販売を目指している。外装パーツの共用化や着脱可能なインテリアパーツなどを採用すると安全性基準などの面で課題だが出そうだが「安全性などの問題や量産などのやり方については現在検討を進めているところだ。その結果として外装パーツの共用化を一部に抑える可能性もある。その当たりも含めて現実的な形を検証していく」(説明員)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 創業2年の商用EVベンチャーが“Appleのような”ファブレス生産を実現できた理由
フォロフライ、丸紅、太陽インキ製造が東京都内で開催したプレスセミナー「急拡大するEV市場と、需要高まる注目セクション」から、講演「商用EVから加速する日本の自動車産業の電動化と、ベンチャーの起こすゲームチェンジ」と「自動車:電子部品最後のフロンティア」をお送りする。 - EVプラットフォームをホンハイから買うか、VWから買うか
1週間おつかれさまでした。寒くなってきましたね。これを書いている10月22日は、関東で12月並みの気温となりました。ついこの間まで、ちょっと汗ばむような気温だったはずなのに、一気に冬になったような気がします。暖かくしてお過ごしくださいね。 - 早くから盛り上がっていたはずの「軽商用車のEV化」はなぜ失速?
今週は佐川急便が集配用の軽自動車をEV(電気自動車)に切り替えるというニュースが話題になりました。 - EVプロトタイプの共同開発を支える「3DEXPERIENCEプラットフォーム」
ダッソー・システムズの年次イベント「3DEXPERIENCE FORUM Japan 2019」の基調講演において、GLM 代表取締役のジュリアン・カー氏が登壇。「持続可能な未来の電気自動車」と題し、同社の取り組みを紹介するとともに、コラボレーティブなイノベーションの推進について、その考えを述べた。 - ジャパンモビリティショーのコンセプトカー出展予定
「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」では自動車メーカーがさまざまなコンセプトカーを出展する。展示予定のコンセプトモデルをダイジェストで紹介する。