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造影剤を使わないCT画像から膵臓がんの検出を支援する技術を開発:医療機器ニュース
富士フイルムと神戸大学は、AI技術を活用して、非造影CT画像から膵臓がんが疑われる所見の検出を支援する技術を開発した。人間ドックなどでの活用により、膵臓がんの早期発見につながることが期待される。
富士フイルムは2023年11月1日、神戸大学と共同で、AI(人工知能)技術を活用して、非造影CT画像から膵臓がんが疑われる所見の検出を支援する技術を開発したと発表した。今後、一般的な検診や人間ドックで同技術が活用されることで、初期の段階での膵臓がん発見につながることが期待される。
今回、約1000例の非造影CT画像をAIが学習し、膵臓がんの直接所見である腫瘤、関節所見である膵萎縮、膵管拡張を検出する技術を開発した。
富士フイルムと神戸大学は、CT画像から膵臓がんの早期発見を支援する技術開発を目指して2021年から共同研究を開始し、2023年4月に腹部の造影CT画像から膵臓がんが疑われる所見の検出を支援する技術を開発している。
今回の成果は、膵臓がん検出支援技術の適用対象を、造影CT画像に比べて低コントラストで不明瞭な非造影CT画像へ拡大するものとなる。非造影CT検査は造影CT検査と異なり、検診や人間ドックなどスクリーニングレベルの検査で用いられている。
初期の膵臓がんは早期発見が難しく、自覚症状が出た時点で進行がんになっているケースが多いため、生存率が低いがんの1つだ。早期発見が予後改善につながるものの、他の臓器よりも構造が複雑で、間接所見の発見が難しいという課題があった。
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