エッジデバイスをクラウドネイティブにするレッドハット、着々と事例も積み重ね:Edge Tech+ 2023(2/2 ページ)
レッドハットは、「EdgeTech+ 2023」の出展に合わせて横浜市内で会見を開き、同年10月末に一般提供(GA)リリースを開始したエッジデバイス上でのコンテナ運用を可能にする「Red Hat Device Edge」のユーザーやパートナーの取り組みを紹介した。
たけびしは製造現場のクラウド活用を視野に、マクニカは「Jetson」と連携
たけびしは、国内外のPLCや装置コントローラーなど320種類以上のデバイスに対応するIoT対応データアクセスユニット「DeviceGateway」を展開している。これらのPLCやコントローラーを扱う工場の生産技術者は、DeviceGatewayによって最小限の変更で見える化をはじめとする製造現場のデータ活用を実現できることが特徴となっている。そしてDeviceGatewayはハードウェア版だけでなく、Linuxハードウェアにコンテナとしてデプロイするソフトウェア版も展開している。
今回、たけびしがレッドハットのパートナーとなったのは、製造現場のデータ活用が1つの工場内にとどまらず、複数の工場をクラウドにつないで行う「製造現場のクラウド活用」に進展する際にDeviceGatewayの利便性をより高める狙いがある。これまでDeviceGatewayは、ハードウェア版であれソフトウェア版であれ専用コンソールで1台ずつ設定する必要があった。これを、Gitとコンテナの仕組みを使ってクラウドやネットワークでつながるエッジデバイス全てに一斉展開できるようになれば、マザー工場で構築した新たな生産ラインを海外を含めた他工場で一斉立ち上げすることなどが可能になる。
たけびし 技術本部 ソリューション開発部 オリジナル商品開発課 専任の小林弘明氏は「Red Hat Device EdgeやOpenShiftをコンテナ基盤とすることで、スケーラブルなスマート工場の展開でもDeviceGatewayを活用できるようになる。2023年初から検討を進めて同年夏には認定コンテナをリリースしており、既に『Red Hat Ecosystem Catalog』から入手できるようになっている。Red Hat Device EdgeのGAリリースに合わせてこれから本格展開して行きたい」と述べる。
レッドハットのEdgeTech+ 2023の展示では、DeviceGatewayとRed Hat Device Edge/OpenShiftを活用したミニチュアのスマート工場が披露された(前ページ冒頭の動画を参照)。このミニチュアスマート工場は、倉庫からボールを搬送して加工/研磨し、色別に仕分けるプロセスを模擬しており、4台の三菱電機製PLCで制御されている。これらPLCのデータは、エッジに当たるDeviceGatewayを組み込んだアドバンテック製の産業用PCで収集し、フォグに当たるデル製PC3台で組んだオンプレミスのクラスタサーバにを介して、AWS(Amazon Web Services)のクラウドにつなげる構成となっている。エッジからフォグ、クラウドをつなげる基盤となっているのがRed Hat Device Edge/OpenShiftというわけだ。
マクニカは、同社が販売しているNVIDIAの組み込みAI(人工知能)ボード「Jetson」とRed Hat Device Edgeの連携を進めていく考えだ。NVIDIAのGPU技術を基に高いAI処理能力を持つJetosnは、クラウドとつなげてAIモデルを更新したり入れ替えたりすることでエッジAIシステムとして高度な機能を発揮できると期待されている。
マクニカ クラビスカンパニー 第1技術統括部 技術第3部 部長代理の野本裕輔氏は「既にエッジAIの導入が進みつつある小売り業界や、ROSなどの活用にと絡めてクラウドネイティブ開発に以降しつつあるロボティクス業界は、Red Hat Device Edgeの導入によって大きなメリットが得られるだろう。生成AIモデルを動作させることも可能なAI処理能力を持つ最新の『Jetson Orin』と組み合わせて展開を広げていきたい」と述べている。
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