オムロンとの協業を深化させるレッドハット、今後の成長は“エッジ”にあり:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
レッドハットが2023年度の事業戦略を説明。同社は中長期の成長に向けて産業機器や車載機器などのエッジにおけるビジネスの基盤構築に注力しているが、その代表的なパートナーになっているのがオムロンだ。
レッドハットは2023年4月25日、東京都内で会見を開き、2023年度の事業戦略を説明した。高シェアを維持する主力製品の「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」に加えて、Kubernetesコンテナプラットフォーム「Red Hat OpenShift」やITオートメーションソフトウェア「Red Hat Ansible」の急速な成長により、2022年の全ての四半期で20%前後の成長率を続ける同社だが、中長期の成長に向けて産業機器や車載機器などのエッジにおけるビジネスの基盤構築に注力している。会見には、このエッジビジネスのパートナーとして産業用PC(IPC)にコンテナを活用した「仮想化制御プラットフォーム(VCP)」の導入を目指しているオムロンから、同社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー コントローラーPMグループ 経営基幹職の夏井敏樹氏が登壇した。
レッドハット 代表取締役社長の岡玄樹氏は、2023年の事業戦略として、RHELとOpenShift、Ansibleから構成される「コアビジネスの拡大」、サブスクリプションとの両立による「クラウドサービスの確立」に加えて、「エッジビジネス基盤の構築」を挙げた。岡氏は「経常収益が10億米ドルに達したOpenShift、Forrester Waveからマーケットリーダーに認められたAnsibleは、RHELと並ぶコアビジネスとなった。OpenShiftについてはマネージドサービスが国内導入100社を超え、これを軸にクラウドサービスの確立も進めていけるだろう」と語る。
そして、今後も2桁%の成長を継続するためにリソースをかけていく必要があるとしたのが「エッジビジネス基盤の構築」である。岡氏は「今はクローズドなエッジだが、今後はクラウドで開発してエッジにデプロイする、エッジ側で継続的にアップデートされるということは可能になってくる。そこにいち早く着目していただいたのがオムロンだ」と強調する。
なお、レッドハットは2023年2月、オムロンが仮想化制御プラットフォームにOpenShiftを採用したことを発表しているが、今回の会見に合わせて、オムロンをレッドハットの製品やサービスを活用して先進的なソリューションを提供していくReadyビジネスパートナーに認定しており、両社のパートナーシップはさらに強固なものとなりつつある。
オムロンは産業機器分野への展開の代表例となるが、レッドハットはエッジビジネスの注力分野に車載機器も挙げており、米国のGM(General Motors)とソフトウェア定義自動車(SDV)の開発を共同で進めるなど取り組みを加速させている。「3年前くらいに、その時点で0人だった車載機器分野専門のエンジニアを100人以上に増やすとしていたが、実際に約140人の部隊になっている。自動車産業が有力な日本市場でも展開を進められるように、先週グローバルの責任者が来日して国内自動車メーカー各社と協議させていただいた。すぐに売り上げが立つわけではないが、2026年前後に本格化して2030年前にはかなり大規模なビジネスにするには今から取り組まなければならない」(岡氏)という。
これらの他にも、国内製造業との間で「エッジビジネス基盤の構築」に向けたさまざまな取り組みが水面下で進められている。レッドハット 常務執行役員 パートナーエコシステム事業本部長の三木雄平氏は「2023年後半に開催予定の国内向けユーザーイベントで幾つか事例をお見せできるのではないか」としている。
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