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タイヤの状態を検知するセンサーやパンクしても走れる“シール”付きタイヤジャパンモビリティショー2023(2/2 ページ)

横浜ゴムは、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」で、開発を進めるタイヤ内面貼り付け型センサー、高負荷小径タイヤ、エアロダイナミクステクノロジー、セルフシールタイヤ、未来のプレミアムスポーツタイヤを参考出品した。

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12枚のフィンをVの字に配置したタイヤとは

 横浜ゴムは10年以上にわたり、走行中のタイヤ周辺で生じる空気の流れをコントロールし、燃費や操縦安定性、静粛性など車の多様な性能向上に貢献する技術としてエアロダイナミクステクノロジーを研究している。既に一部のエアロダイナミクステクノロジーは開発済みだ。

 例えば、2010年にはタイヤ側面に小さなへこみを施した「ディンプルデザイン」を、2012年にはタイヤ側面にフィン状突起を配置した「フィンタイヤ」を開発した。これらのように空力効率を高めるタイヤの新たなデザインパーツとして、ディンプルやフィンの最適な形状や配置を発表し続けている。

 現在は、エアロダイナミクステクノロジーの研究成果から生まれたフィンを搭載した「ADVAN A50」を開発中だ。タイヤ装着時に車両の外側となるアウト側に12枚のフィンをVの字に配置したADVAN A50は走行中にタイヤの上下で効果的に空気の流れを発生させられる。具体的には、通常のタイヤと比べて、タイヤの後方で生じる空気の渦が少ないことに加え、タイヤの下側で発生する気流の広がりが小さいため操縦性が高い。


「ADVAN A50」のプロトタイプ[クリックで拡大]

「ADVAN A50」に配置したフィンの効果[クリックで拡大] 出所:横浜ゴム

 セルフシールタイヤは内部に備えた粘着性の強いシールでクギなどとの接触によりトレッド部で発生した軽微な穴を自動でふさぐ。シール材が穴をふさぐことで空気漏れを抑えタイヤの空気圧の急激な低下を抑制する。これにより、パンク時の応急的なタイヤ交換を不要とし、路肩でのタイヤ交換の危険性や手間を回避できる。スペアタイヤの積み込みも不要とし、自動車の燃費向上にも貢献する。


セルフシールタイヤ[クリックで拡大]

セルフシールタイヤのパンク時の修復イメージ[クリックで拡大] 出所:横浜ゴム

 同社の説明員は「セルフシールタイヤを利用することで、パンクしたエリアから一定距離の走行を実現できるので、最寄りの専門店などまで走り安全にタイヤ交換が行える」と話す。

タイヤの剛性を走行シーンに合わせて制御できるスタビライザー

 コンセプト展示された未来のプレミアムスポーツタイヤは、走行シーンに合わせてタイヤのトレッド面とケーシングの剛性を自由にコントロールできる「硬度可変スタビライザー」を内部に搭載している。硬度可変スタビライザーは、トレッド面剛性調整スタビライザーとサイドウォール面剛性調整スタビライザーから成る。トレッド面剛性調整スタビライザーはトレッド部の剛性をコントロール可能で、サイドウォール面剛性調整スタビライザーはサイドウォール部のケーシング剛性を制御できる。


未来のプレミアムスポーツタイヤのコンセプト展示、青い部分がトレッド面剛性調整スタビライザーで赤い部分がサイドウォール面剛性調整スタビライザー[クリックで拡大]

 硬度可変スタビライザーのモードは「SPORTS」「COMFORT」の2種類で、運転席のタッチパネルで操作が行え、入力された制御情報はタイヤ内部のセンサーを介して送信される。SPORTSはタイヤの剛性をアップし乾いた路面で快適な走行を実現。COMFORTはタイヤの剛性を下げぬれた路面などで制動力を発揮する。

 また、硬度可変スタビライザーはパンク時でも硬い構造でタイヤを支え短距離の移動に対応し、タイヤが摩耗し交換になっても硬度可変スタビライザーは脱着可能で新しいタイヤに装着できる。

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