EV向け大型樹脂部品に対応する、3000tクラスの超大型全電動式射出成形機:工作機械
芝浦機械は、全電動式射出成形機「EC-SXIII」シリーズに、最上位クラスの超大型機「EC3000SXIII」を追加した。EV向け大型樹脂部品の需要拡大に対応し、ハイサイクル成形と省エネ性能で顧客のLCA向上にも貢献する。
芝浦機械は2023年10月13日、全電動式射出成形機「EC-SXIII」シリーズに、最上位となる3000tクラスの超大型機「EC3000SXIII」を追加したと発表した。これにより同シリーズは、50tの小型機から3000tの超大型機まで幅広いラインアップがそろう。
自動車業界ではEV(電気自動車)の開発競争が加速しており、車体を軽量化するために大型樹脂部品の需要が拡大している。EC3000SXIIIはそのニーズに応えるとともに、ハイサイクル成形と省エネ性能で顧客のLCA(ライフサイクルアセスメント)向上にも貢献する。
シリーズ共通の高剛性トグル機構「Solid Clamp」が、金型を均一に締め付け、低い型締力でも効率良く成形品のバリを抑制する。また、摺動抵抗の低減と直進精度を持続する移動ダイプレートのリニアガイド支持と、独自のダイナミック加減速制御によるサーボモーター駆動を組み合わせることで、高速と高精度を両立する。
同シリーズでは、型厚が異なる金型に交換する場合、トグル式型締装置の構造から、型厚調整時間が長くなるという課題があった。EC3000SXIIIでは、リンクハウジングのリニアガイド支持とサーボモーター駆動により、型厚調整時の移動速度が5倍速くなり、段取り時間を大幅に短縮する。
他に、可塑化能力、混錬力に優れた新開発のESBスクリューがオレフィン系樹脂に対応し、ハイサイクル成形でも安定した樹脂溶融状態を得られる。マスターバッチ着色でも、高分散エレメントの組み合わせにより良好な色分散性能を提供する。
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