日立が組織再編でLumada協創サイクルを強化、海外ITサービス売上高1兆円に向け:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
日立製作所は、2023年11月1日付で実施するHitachi Vantaraの再編とITプロダクツ事業の会社分割による組織再編の狙いについて説明した。
「3本の矢で生成AIによる市場成長を捉える」
今回の組織再編は、デジタルソリューション群「Lumada」の協創サイクルを加速するための施策にもなっている。Lumadaの協創サイクルは、デジタルエンジニアリング、システムインテグレーション、コネクテッドプロダクト、マネージドサービスという4つの象限に分けられる。日立が事業を展開する鉄道、エネルギー、産業などの分野では既に強いコネクテッドプロダクトが存在しており、この強いコネクテッドプロダクトをLumadaとして海外で生かしていくために強化が求められてきたのが残り3象限である。
デジタルエンジニアリングについては、2021年7月買収のGlobal Logicを中核に着実な成長を遂げており、今後も不足する領域についてはボルトオンM&Aで補っていく構えである。そこで、コネクテッドプロダクトとデジタルエンジニアリングの間をつなぐ、システムインテグレーションとマネージドサービスを強化する役割を担うのがHitachi Digital Servicesである。システムインテグレーションでは、さまざまなOT領域に対応したドメインソリューションを、マネージドサービスではクラウドマネージドサービスを提供する。そして、Lumadaの協創サイクルの中心に位置するデータインフラストラクチャを提供するのが新生Hitachi Vantaraである。
Hitachi Digital Servicesの前身となるHitachi Vantaraのデジタルソリューション部門では、ドメインソリューションの採用事例として英国の都市間高速鉄道計画で240両以上の車両に採用されたHitachi Railの状態基準保守(CBM)システムが、クラウドマネージドサービスの採用事例として米国におけるビル空調設備保守の「HARC(Hitachi Application Reliability Centers)サービス」などがある。
また、新生Hitachi Vantaraに対応するデータインフラストラクチャサービスでは、アジアの航空会社から求められたデータのオンプレミス格納とワークロード変動に対応可能なクラウドリソースの一時利用という要望を仮想化技術によって実現した事例があるという。
阿部氏は「Hitachi Digital Services、新生Hitachi Vantara、Global Logicの3本の矢で生成AIによる市場成長を捉えて、海外ITサービス事業の売上高を1兆円まで伸ばしていく」と強調する。
今回の再編の対象となるHitachi Digital Servicesと新生Hitachi Vantaraの売上高規模が約5000億円で、Global Logicは足元で売上高2500億円が視野に入っているため、単純合算で現在の海外ITサービス事業の売上高は7500億円となる。1兆円まで2500億円の売上高成長が必要になるが「今回の組織再編は2024中計や2027中計にとどまらない将来に向けた成長のためのものだが、成長の加速を狙いとしている以上、2027中計のなるべく早い段階で目標を達成したい」(徳永氏)としている。
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