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三菱電機がサブ6対応の透明アンテナを開発、電波の放射効率は従来比で2.3倍:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
三菱電機は5Gのサブ6に対応する透明アンテナを開発したと発表した。窓ガラスに設置する場合には非接触給電が可能なため、外観を損なう非透明な給電ケーブルが不要になるとともに、電子レンジ扉部の電波シールドに用いられるパンチングメタルと置き換えれば庫内視認性の向上も可能だという。
窓ガラスへの実装では電磁結合給電によって非接触で電力を供給
窓ガラスへの実装では、ガラスを支持する金属サッシに設けた給電素子から透明アンテナに対して電磁結合給電によって電力を供給できる。従来は、金属サッシまで配索してある給電ケーブルを透明アンテナまで伸ばして給電しており、部分的ではあるものの給電ケーブルが窓ガラス状に露出していた。新開発の透明アンテナは、アンテナに流す電流を小さくするとともに透明導電材料による損失を低減することで、金属サッシに設けた給電素子から透明アンテナまで電磁結合給電できるようになり、ケーブルが窓ガラス状に露出することがなくなった。アンテナの放射効率も従来の82%から94%に向上できている。
電子レンジ扉の電磁シールドへの実装では、これまで用いられてきたパンチングメタルと比べて大幅に庫内視認性を改善できており、一般的な家庭用電子レンジの最高出力である1kWに対応する耐電力性能を確認できているという。2層メッシュ構造にすることで、1層メッシュと比べて1層当たりの電力損失を約4分の1に低減可能であり、この場合は業務用電子レンジや木材乾燥、半導体製造装置などに用いられているマイクロ波加熱装置にも適用範囲を広げられるという。
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