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「消費」と「貯蓄」はどんな関係にある? 家計と政府のデータを調べてみようイチから分かる! 楽しく学ぶ経済の話(5)(5/5 ページ)

勉強した方がトクなのは分かるけど、なんだか難しそうでつい敬遠してしまう「経済」の話。モノづくりに関わる人が知っておきたい経済の仕組みについて、小川さん、古川さんと一緒にやさしく、詳しく学んでいきましょう!

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日本の消費の水準

日本の最終消費は他国と比べてどのような状況なのでしょうか?


それでは国際比較もしてみましょう。



図12:1人当たり家計最終消費支出(2019年)[クリックして拡大] 出所:小川製作所

米国が極端に多いですが、その他は似たり寄ったりですね。


そうですね、為替や物価水準の違いなども含みますが、米国は全体的に家計の消費が多い国と言えますね。特に突出しているのが、保健への支出です。


医療保険制度の違いなどが表れていそうですね。


日本は比較的食料・非アルコールへの支出が多いようですが、逆にアルコール飲料・たばこや被服・履物、交通への支出が少なめなようです。


住宅・電気・ガス・水道への支出は、他国並みかやや少ないくらいです。他国と比較してみると、相対化されてとても興味深いですね。


続いて政府最終消費支出も比較してみましょう。



図13:1人当たり政府最終消費支出(2019年)[クリックして拡大] 出所:小川製作所

イタリアと韓国以外は、全体の水準としてはそれほど大きくは異なりませんね。内訳をみると、米国だけかなり特殊な感じがします。


そうですね、米国はまず何といっても防衛が随分と大きな水準です。そして、公共の秩序・安全、教育がかなり高い水準にあります。逆に保健と社会保護が少ないという特徴がありますね。


米国は自己責任社会といった事もよく聞きますが、保健や社会保護が少ないことからもそれがうかがえますね。一方で、教育がかなり多いのも特徴的ですね。


日本はドイツやフランスに近い状況ですが、これらの国と比べると、一般行政サービス、防衛、公共の秩序・安全、教育、社会保護、娯楽・文化・宗教が少なく、経済業務が多いようです。


主要国の中では米国がかなり異質だということが良く分かりますね。


そうですね、主要国の中でも特に米国とドイツ、フランスで傾向の異なる点が多いですね。今後のデータでもそのような相違点が出てきますので、注目していきましょう。


今回はひとまずここまでですかね。ありがとうございました!


次回は、貯蓄から資本投資がなされ、最終的な純借入/純貸出がどれくらい残るのかを見ていきましょう。


記事のご感想はこちらから
⇒本連載の目次はこちら
⇒連載「『ファクト』から考える中小製造業の生きる道」はこちら
⇒連載「小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ」はこちら

筆者紹介

小川真由(おがわ まさよし)
株式会社小川製作所 取締役

慶應義塾大学 理工学部卒業(義塾賞受賞)、同大学院 理工学研究科 修士課程(専門はシステム工学、航空宇宙工学)修了後、富士重工業株式会社(現 株式会社SUBARU)航空宇宙カンパニーにて新規航空機の開発業務に従事。精密機械加工メーカーにて修業後、現職。

医療器具や食品加工機械分野での溶接・バフ研磨などの職人技術による部品製作、5軸加工などを駆使した航空機や半導体製造装置など先端分野の精密部品の供給、3D CADを活用した開発支援事業等を展開。日本の経済統計についてブログやTwitterでの情報発信も行っている。


監修者紹介

古川拓(ふるかわ たく)
TOKYO町工場HUB 代表

京都大学法学部卒。バンカーとして日米で通算15年間勤めたのち、2004年に独立。技術と創造力で社会課題の解決を促すソーシャルデザイン/プロデュースの道を進む。自ら起業家として活動しつつ、ベンチャーファンドの取締役、財団理事等を歴任し、国内外で活動してきた。

2017年よりスタートアップのエコシステム構築を目指すTOKYO町工場HUBの事業を開始。さらに2022年より和文化(工芸、芸能、食文化)を海外向けにプロデュースするTokyo Heritage Partnersを立ち上げ、現在に至る。

2009年〜2020年:東京大学大学院新領域創成学科の非常勤講師(持続可能な社会のためのビジネスとファイナス)を務めた。現在、東京都足立区の経済活性化会議他、東京観光財団エキスパート(ものづくり分野担当)、各種審議委員会の委員を務める。


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