三菱電機が細穴加工特化のレーザー加工機、コンパクト設計で高い面積生産性:第23回 Photonix
三菱電機は光やレーザー技術に関する展示会「第23回 Photonix」において、2023年10月2日に発売したレーザー細穴加工機「DZ600」を初めて披露した。
三菱電機は光やレーザー技術に関する展示会「第23回 Photonix」(2023年10月4〜6日、幕張メッセ)において、2023年10月2日に発売したレーザー細穴加工機「DZ600」を初めて披露した。
同時5軸制御で高速/高精度位置決め、筐体は金属3Dプリンタと同一
DZ600は、金属における径1mm以下のような細穴加工に特化したレーザー加工機だ。加工ヘッドは直交3軸、テーブルは回転2軸の同時5軸制御と自社製CNCにより、高速で高精度な穴あけを実現する。
2kWの自社製CWファイバーレーザー発振器を搭載し、加工範囲は5軸使用時で最大500×500×500mmとなっている。自動孔抽出機能を搭載した独自の専用CAMにより、ティーチングレスのデータ生成を実現しており段取り時間を大幅削減する。
従来、細穴加工には主に放電加工やドリルが用いられていた。ただ、ドリルでは刃物の摩耗が生じる上、固い材質のワークでは細穴の加工が難しかった。また、耐久性などを高めるためにセラミックコーティングされたワークでは、導電性がないため放電加工ができないという問題もあった。DZ600はそれらの問題を解決する。
同社のラインアップには3次元レーザー加工機もあり、細穴をあけることもできる。ただ、本体のサイズが大きく、工場で大きなスペースをとってしまう。DZ600は本体サイズが1600×2900×2500mmという省スペース設計となっていて高い面積性を発揮する他、70μの細穴に特化した集光径を採用するなどし、高真円度、テーパの小さい穴あけ加工を可能にしている。
まだ見えていない細穴加工のニーズを発掘
実は、DZ600は同社のワイヤレーザー金属3Dプリンタの「AZ600」と同じ筐体を使用している。コストの低減に成功した他、現場での設置スペースも確保しやすくした。ほぼ同じ構造のため、AZ600で造形後にDZ600で細穴加工といったケースも段取りが容易になる。また、専用CAMではAZ600と同じデータを活用できる。
当初は国内のみだが、順次海外でも販売する。年間50台の販売を目指す。価格は9300万円(税別)からとなっている。
航空機部品やエネルギーのタービンの冷却穴などを想定しているが、三菱電機 FAシステム事業本部 メカトロ事業推進部 部長の川田明宏氏は「現状で見えている需要以外にも、われわれが見えていない部分で細い穴をあけたいというニーズはあるはず。展示会の出展を通してそういったユーザーやニーズを開拓したい」と語る。
会場ではCFRP(炭素繊維強化樹脂)用3次元レーザー加工機による加工サンプルを紹介した他、従来の熱硬化樹脂に代えて熱可塑性樹脂を使ったCFRTP(熱可塑性CFRP)や、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、AFRP(アラミド繊維強化プラスチック)などの加工サンプルも展示した。
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