独自のデジタル造形技術で高品質造形、ワイヤレーザー方式金属3Dプリンタ:金属3Dプリンタ
三菱電機は、ワイヤレーザー方式の金属3Dプリンタ「AZ600」2機種を発売した。独自のデジタル造形技術により、造形物の状態や形状に合わせた高品質な積層造形が可能で、廃棄材料の削減で環境負荷の低減にも寄与する。
三菱電機は2022年3月1日、ワイヤレーザー方式の金属3Dプリンタ「AZ600」を発売した。発振器出力が2kWの「AZ600-F20」と4kWの「AZ600-F40」の2機種を提供し、年間100台の販売を目指す。
AZ600は、溶接用ワイヤをレーザーで溶融し、3次元構造を高品質に造形する。空間同時5軸制御や、ワイヤ送給、レーザー出力などの加工条件をCNCで協調制御するデジタル造形技術により、造形物の状態や形状に合わせた積層造形が可能だ。
熱源には高速制御に適したレーザー光を採用し、造形状態に応じて高速かつ正確に熱エネルギーを制御することで、熱影響や熱ひずみの発生を低減する。レーザー光の入熱制御でワイヤ材を溶融するワイヤ方式のため、粉末方式では困難だった、緻密度が高くて空孔が少ない、安定的かつ高品質な金属造形が可能になる。
複雑な溶接経路の空間同時5軸制御により、熟練者の手作業に頼っていたTIG(タングステン不活性ガス)溶接の代替が可能になる。最終形状に近い状態に仕上げるニアネットシェイプ工法により、従来の切削工法との比較で加工時間と廃棄材料を約80%削減。また、消耗部品の欠損部分への肉盛り補修もでき、部品の長寿命化やランニングコストの削減にも寄与する。
本体のサイズは1600×2900×2500mmで、重さは7000kg。ストロークは600×600×600mm、最大ワークサイズは直径500×高さ500mm、最大積載ワーク質量は500kgとなっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 広がる金属3Dプリンタと工作機械の融合、それぞれの技術方式の特徴
2020年11月16〜27日にオンラインで開催された「第30回 日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2020 Online)」において、主催者セミナーとして、東京農工大学 工学府 機械システム工学専攻教授の笹原弘之氏が登壇。「金属材料のAdditive Manufacturingの基礎から見える未来予想」をテーマとし、金属AMの代表的ないくつかのプロセスの基本原理とメリットやデメリットについて述べるとともに、国内外の金属AMの最新動向について紹介した。 - 三菱電機初の金属3Dプリンタ、モジュール化による自動化で工程最適化目指す
三菱電機は「JIMTOF2018」において、同社初となる金属3Dプリンタを参考出展。単体としての技術力とともに、モジュール化した工程の組み合わせにより、工程全体で自動化を実現できる価値を訴えた。 - 三菱電機初の金属3Dプリンタ、パルス式のレーザー照射と制御技術で“ゆがまない”
三菱電機は、新たな金属3Dプリンタ技術を開発した。レーザーワイヤDED(Directed Energy Deposition)を採用した金属3次元造形装置において、レーザー技術、数値制御(CNC)技術、CAM技術を連携させて、高精度な造形を実現する。 - 金属3Dプリンタ活用3つのハードルと日本のモノづくりの今後
金属3Dプリンタ関連の技術開発が急速に進み、海外を中心に製造事例も聞こえてくるようになった今日、その動きに取り残されないよう、従来の考え方や経験にとらわれない仕事をしていくことが、今後はより重要になっていきそうだ。 - 金属3Dプリンタは量産対応とともに「誰でも使える」を目指す、ソフトウェアも続々
東京ビッグサイトで「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」が開催された。その中で金属3Dプリンタは海外を中心に10社以上の製品が並んだ。 - 足し引き自在で効果は無限大! 金属3Dプリンタと切削加工の複合機投入が本格化
「第27回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2014)」で大きな見どころの1つとなったのが、工作機械と金属3Dプリンタの複合機だ。金属を「足す」3Dプリンタと金属を「引く」切削加工機が組み合わさることでモノづくり現場にどういう価値をもたらすのだろうか。