“現場の負担を削る”新工場で工作機械の作り方を進化、AGVも活用で生産性35%向上:メイドインジャパンの現場力(1/2 ページ)
工作機械メーカーの中村留精密工業は2023年8月23〜25日までプライベートショー2023「負担を削る展」を本社工場で開催し、新たに完成した第13工場のMAGIを公開した。
工作機械メーカーの中村留精密工業は2023年8月23〜25日までプライベートショー2023「負担を削る展」を本社工場(石川県白山市)で開催し、同年7月に新たに完成した第13工場を公開した。
機械でいっぱいだった組み立てエリア、今後の成長を見据えて工場を新設
中村留精密工業は1台の機械でフライスや旋削、ギヤ加工など複数の加工ができる複合加工機を主力とする。プライベートショーでもATC(自動工具交換装置)型複合加工機「JX-200」や同「MX-100」、複合加工機「SC-200II」などの実機や加工デモンストレーションを披露した他、自動化設備やソフトウェアなど関連製品も展示し、3日間で約900人が来場した。
同社では、一部の機種を韓国工場で生産する他は、本社工場内で部品の加工から本体の組み立てまでを行っており、第1工場から最新の第13工場まで存在する。
新工場はこれまで駐車場として使用していた敷地に建てられた。建屋は2階建てで総面積が7050m2となっている。隣接している第11工場、第12工場と連携して、各種のユニットの製作から本体の組み立てまでを一気通貫で行う。新工場の本格稼働は2023年10月を予定している。稼働後は、組み立てを行う際の機械設置台数は従来の150台から200台へと増え、年間出荷台数は1100台から1500台へと35%向上する。
中村留精密工業 生産本部 ヘッドの山村郁哉氏は「2022年度は需要が高く、工場は機械でいっぱいの状態だった。今後の成長を見据えると、生産スペースを拡充する必要があった」と語る。
今回の新工場では単に面積を広げただけではなく、機械の作り方も変えてリードタイムの短縮を図っている。
工作機械は多数の部品で構成されており、いくつかの部品が集まったユニットとしてそれぞれ役割を果たしている。これまで各ユニットの製作は同じ敷地内でも離れた位置にある第7、第8工場で行われており、組み立てを行う第11、第12工場までそれらを運ばなければならなかった。各ユニットは工作機械のベッドの上で組み付けを行い、作業が終わるまで機械を動かすことはなかった。
新工場の完成に伴い、ユニットの製作は新工場の2階で行うようにする。さらに出来上がった各ユニット同士を2階で先に組み付け、慣らし運転などの評価も行う。その後、新たに設置したスタッカークレーンで1階に降ろし、工作機械のベッドに取り付け、配管や配線を行う。ATCが付くような大型の機械は第12工場、中小型の機械は第11工場にフォークリフトで運び、これらの最終組み立てを行う。
工程の中では、ベッドの上で行う作業が、一番作業面積が必要になる。機械が出荷されないとスペースが空かないため、新しい機械の組み立てを始めることができない。ベッドの上で行っていた組み立て作業の一部を、その前の工程に移して分散を図ることで、ベッド上の作業日数を短縮。これら”並行生産”の強化により、従来、3日かかっていた本体組み立てが1日でできるようになった。
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