電話対応を半減! アナログな港湾をCyber Portは救えるか:船も「CASE」(4/4 ページ)
国土交通省は「Cyber Port(サイバーポート)」の活用に向けたWebセミナーを開催した。サイバーポートは、民間事業者間のコンテナ物流手続を電子化して作業の効率化を目指すプラットフォームだ。
旧態依然から抜け出せなかった業務でも電話件数が半減
セミナーでは、業務の中でも「ターミナルオペレーター」に対する問い合わせ機能に特化した説明もなされた。この機能では海貨とターミナルオペレーターとの間で、デマレージ料や各種検査料の金額の問い合わせやその支払いの申し込み、そして検査の申し込みができる。
あるターミナルオペレーターに現状をヒアリングしたところ、従来の業務イメージとしては電話での問い合わせが主流で、受付人員の工数がかかるだけでなく問い合わせする荷主もターミナルオペレーターの受付時間を考慮しなければならないという。加えて、取扱量が多いほど支払い申し込みに関する帳票の管理が煩雑なるという意見も少なくない。
これらの課題もサイバーポートのターミナル問い合わせ機能を活用することで解決する。回答内容には問い合わせのあった業務に応じて自動で計算された料金も示されるので荷主は料金確認がすぐにできるだけでなく、そのまま支払い申し込みを行うことができる。ターミナルオペレーター側も、自動応答するようにシステム連携の仕組みを構築することで電話応対人員の工数を削減できる。
こちらの導入事例として紹介された港湾輸送企業の宇徳では、業務に伴う検査料や各種料金の“電話”による問い合わせが以前から業務を圧迫しており、その削減のためにサイバーポートを2022年2月から導入した。導入にあたっては国交省や宇徳と取引のあったシステムベンダーとともに協議を重ねて港湾DXを作り上げるためには何が必要なのか意見交換を繰り返しながらシステムを構築。導入後に普及に向けた取り組みの一環としてクライアント向けの利用マニュアルを作成した他、ヘルプデスク対応の社内教育を徹底したという。
その努力によって、導入開始直後こそサイバーポート利用クライアントは11社、利用率15.1%だったが、2023年3月には利用会社数が149社、利用率が88%となるまでになった。導入によって電話問い合わせ時間は50%の削減、1カ月当たりの削減時間は53時間にも上ったという。
セミナーでは国交省からサイバーポートの今後の展開として、他のプラットフォームとの連携などを通じてサービスを拡充させる計画であることも明らかにされた。そこでは、ランサムウェアにより、コンテナターミナルの業務が停止してしまうケースなどを想定した事業継続性にも改めて焦点を当てて、サイバーポートが活用できないか検討する。具体的にはランサムウェアの被害にあった場合、感染前の状態までシステムに戻すためにサイバーポートで生成されるログデータを利用して復旧作業における効率化を目指すとしている。
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